日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

あまり知らされていない情報

2005年10月09日 | インポート
平成17年10月11日から発足する「雲仙市」における議員報酬等の事。

長崎県南高来郡内の南串山町、小浜町、千々石町、愛野町、吾妻町、瑞穂町、国見町の7町が合併して、雲仙市という名称の自治体になる。

現在のその7町における町議会議員の総数は100名弱だが、合併後には、合併後50日以内に実施される選挙によって、市会議員の数は30名になる。

そうすると、議員の数は3分の1以下に減るので、その議員報酬も3分の1以下に減るはずだと一般的には思われるものと思う。

しかし、合併後における雲仙市の市会議員の報酬額は、人口規模などが類似している地方自治体の市会議員並みに引き上げられるために、単純に従来支給されていた議員報酬総額の3分の1になる訳ではない。

雲仙市においては、月額の総支給額が344,000円という額が、雲仙合併協議会における協議結果によって示されている。

従来の7町の町議会議員の議員報酬月額は、支給総額の平均額でおよそ220,000円だったものが、雲仙市議会議員になれば、議員1人当りおよそ1.6倍程度の支給額となる。

従来の町議会議員の何人分に相当するかを計算すると、30人×1.6=48人 になるから、議員の数が3分の1の人数になっても、従来100名近い町議会議員に支給されていた総支給報酬額の半分程度の経費削減ということになる。

さらに、雲仙市になった場合には、今までには無かった地域審議会という仕組みが発足して、旧町から最大15名ずつの地域審議会委員と言う人達が新市長から任命される事になっている。

これは、合併に伴い、議会議員の数が減少するために、各地域からの声が市政に届きにくくなる可能性があるという懸念から、各地域(旧町)からの住民の声を広く吸い上げて、偏りの無い市政を実現していこうという目的で、雲仙市において設置されるものだ。

しかし、その地域審議会委員には、報酬が支払われる事になっている。
1町当り15名だから、7町での地域審議会委員の総数は、最大で105名となる可能性もある。

その地域審議会委員は、市長が選任する事になっていて、様々な案件に対する市長からの諮問機関として、各地域の地域審議会が答申をしていくという仕組みだ。

議会議員の様に議決権が付与される訳ではない。
あくまでもいろいろな案件に関して、各地域の意見として集約したことにして、市長に具申するだけの組織だ。

市長は、そのような答申を尊重する事にはなってはいるが、地域審議会委員は、議会議員の様に議決権を与えられないので、仮に市長の考え方と反する答申を出したとしても、市長に対する強制力は無い事になる。

どの程度の頻度で、その地域審議会が開かれる事になるのかは今の所わからないが、費用弁償と言うことで、会議が開かれた時だけに報酬が支払われるとしても、それらの最大105名の地域審議会委員に支払われる報酬は、相当額の出費となるはずだ。

地域審議会の開催頻度が少なければ、その組織は正常に機能していない事になるし、その開催頻度が多ければ、それに対する出費が増えていく事になる。

今までには無かった出費が、期間限定ではあるが雲仙市においては新しく発生する事になる。

もう1つ懸念される事は、市長が選任して委員を決めるのであるから、その地域審議会という組織を、議会対策用に市長が使うという事も想定しておかなければならない。

要するに、市長の側からすれば、ある案件に対して、地域審議会からの総意であったということで議会に投げかければ、議会としてはその案件に対しては、反対の意思表示をする事はしづらくなるだろう。
なぜならば、地域審議会委員は地域の声を市政に反映させるために創設される、地域の声の代表者たちの声であると言う大義名分があるから、同じく住民の代表者である市会議員がその地域審議会が出した結論には反対できないであろうと考えられるからである。

また、地域審議会委員は、市長が選任する事になっているが、合併に伴って失職する人達に対して与えられるポストにならなければ良いがと私は思っている。

この事に関しては、特に住民として注視しておく必要がある事柄だと思っている。

雲仙市議会議員の報酬総額と、従来の旧町には無かった地域審議会委員に支払われる報酬総額を合計すると、旧7町の議会議員に支払われていた報酬総額と比べて、大きな経費削減には結びつかない可能性も考えられる。

このような事は、正しい情報を迅速に住民に伝達しなければ、一般の住民は知る事が出来ない。

たいていの場合、なってしまってから、こんなはずでは無かったのにと思っても、後の祭りだという事が多い。

その様な事の無いようにするためにも、住民に対する迅速で正しい情報公開は、是非とも必要な事だと思う。


豊田かずき