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マウスが仲間を求める神経の仕組みを発見

2022-03-09 10:27:01 | 自然
ヒトは孤独であることが大きなストレスになるといわれていますが、群れで暮らし子育ても共同で行うタイプのマウスで、仲間を求める神経の仕組みを理化学研究所などの研究グループが解明したと発表しました。

研究グループは、子育てに関わる脳の働きの解明を目指しています。これまでの研究でメスのマウスの生殖ホルモンが働くと、脳の子育てに重要な部位で「カルシトニン受容体」が増えることを発見していました。

これによってこの部位の神経細胞が活発になり、子育ての意欲が生じることを明らかにしています。カルシトニン受容体は、脳ではホルモンの一種の「アミリン」が結合して活性化することが分かりました。

研究グループは群れのメスのマウスを1匹にすると、アミリンがほとんど作られなくなることを発見し、マウスの社会性に関する脳内の働きを解明しようと一連の実験を行いました。

メスマウスの4〜5匹の集団から1匹だけ別のケージに引き離したり、他のマウスを出して1匹をケージに残したりしました。すると隔離されたマウスでは、アミリンを作る神経細胞「アミリン細胞」が2日で半減し、6日でほぼゼロになりました。

完全に孤立させず柵越しに仲間が見えるようにしても、アミリン細胞の減りかたは同じで、アミリン細胞の維持には仲間の匂いを嗅ぎ姿を見るだけではなく、身体の十分な触れ合いが必要であることが分かりました。

隔離の2日後自由に行き来できるようにすると、隔離されていたマウスは積極的に他のマウスの匂いを嗅いだり触れ合ったりして、アミリン細胞が再び活発になり、アミリンの量が維持されたと考えられます。

カルシトニン受容体を作る神経細胞は、アミリンを脳の子育てに重要な部位に投与した時や、隔離されたメスを仲間と再会させたときに活性化しました。この子育てに重要な部位の活性化には、触れ合いが親和的なものである必要があるようです。

一連の実験結果から、孤独を感じて仲間と一緒にいようとするメスの親和的な社会行動は、アミリンとカルシトニン受容体の結合が制御していることを突き止めました。なおオスのマウスには、この様な親和的社会性が乏しいようです。

研究グループはヒトと同じ霊長類のマーモセットで、脳内にメスのマウスと同様の仕組みが存在し、子育てや社会性に関係しているかどうかを調べています。

この様にメスのマウスだけに子育てなどに必要な仕組みがあるということは、やはり子育てには女性の方が適していると言えるのというのは、飛躍し過ぎなのかもしれません。


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