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「ガンの転移」はなぜ起こるのか

2020-09-05 10:37:00 | 健康・医療
ガンが転移する仕組みは完全には分かっていませんが、二つの仮説が考えられています。

ひとつはガン細胞に遺伝子変異が加わることによって、転移する能力(転移能)を獲得する可能性です。ガン細胞が誕生するためには、数個の遺伝子変異が蓄積される必要があります。

遠隔転移についても、転移能をもたらす遺伝子変異があるに違いないという発想で、「遺伝子変異対仮説」と呼ばれています。しかし今のところそういう遺伝子は特定できていません。

もうひとつの考え方は、遠隔転移をつかさどる遺伝子変異はそもそもないという仮説です。原発巣から血中へのガン細胞の流入は最初から起きており、大抵は転移せずに終わりますが、そのうちほんの一部がある時たまたま転移すると考えます。

血流にのったガン細胞が遠くの臓器に漂着して増えるのは、実はとても難しい事なのです。実際血管に入ったほとんどのガン細胞は、途中で死ぬことが分かっています。しかしずっと続けていれば、いつか転移が成立してしまうという見方です。

「患者よガンと闘うな」というベストセラーの著者が提唱した「ガンもどき理論」というのがあります。これはガンには「本物のガン」と「ガンもどき」があるというものです。

「本物のガン」は早期発見してもすでに転移していて命を奪うからつらい治療をしてもだめで、「ガンもどき」は転移する能力を持っていないため、放っておいても大丈夫という説です。

この理論の前提にあるのは、がんが転移するかどうかは最初から決まっているという仮定です。しかし転移の仕組みから考えると、この仮定は成立しないような気がします。仮に「遺伝子変異対仮説」が正しいとすると、遺伝子変異はランダム(偶然)に起きる現象です。

遺伝子変異はタバコや放射線、紫外線、増殖時のコピーミスなどで、遺伝子に傷がつくことが引き金で起きます。長い時間をかけていくつもの遺伝子変異を積み重ねた結果、ガン細胞となったのです。

転移をつかさどる遺伝子に変異が起きるのも、時間の問題と考えるのが自然です。また常にガン細胞は血液中に出ているという説でも、がんの転移は時間の問題であるという結論は同じになります。

すべてのガンは最初のうちまだ転移していないという意味で「ガンもどき的」となっています。時間がたつにつれ、転移して本物のガンに見えるものが増えていきます。

「ガンもどき」と「本物のガン」という二つの別物があるわけではなく、同じガンに転移が起きていない時期と、転移が始まる時期という「二つの時期」があると考えるべきでしょう。

なぜガンは転移するかというより「ガンもどき」説の否定になってしまいましたが、この説にも正しい部分もありそうで、この著書を読んでみたい気もします。


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