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運動の好き嫌いは腸内細菌で決まる

2023-05-02 10:35:09 | 健康・医療
私は特に運動が嫌いというわけではなく、週1回のテニススクールは楽しみにしています。ただ走ったり歩くのは嫌いで、短距離でも自転車(電動アシスト)での移動を基本にしています。

最近マウスの運動の好き嫌いは、腸内細菌の影響かもしれないという論文が発表されました。定期的な運動が健康に良く、多くの病気のリスクを減らすことは以前から知られています。

しかし成人の80%以上は世界保健機構(WHO)が推奨する週150分以上の運動をしていません。世界的に見て運動不足は、早死にや冠動脈性心疾患、2型糖尿病、乳ガン、大腸ガンの6〜10%を引き起こしているといわれています。

腸内細菌と運動が関連していることは、これまでも示唆されています。2019年の研究では、ボストンマラソンを走ったランナーとそうでない被験者を比べたところ、ランナーは便の中にいる特定の種の細菌がマラソン後に増えたことが示されました。

またこれらの腸内細菌は、マウスに移植すると運動能力を向上させることが分かりました。今回の研究では、少なくともマウスについてはいくつかの種の腸内細菌が期待感を高める神経伝達物質のドーパミンの産生を促し、より長時間の運動に対する報酬となっている可能性が示されました。

今回のペンシルベニア大学の研究チームは、運動意欲を失わせるものを知るため、遺伝的に多様な8種類のマウスで実験しました。マウスにおける運動意欲や激しい運動をする能力のばらつきの中には、遺伝子に関係するものもあります。

100世代以上にわたって繁殖させた「ハイランナーマウス」の系統では、DNAに特定の変化が起き、平均の3倍以上の距離を走ることを実験で示しています。またハイランナーマウスの腸内細菌は、あまり活動的でないマウスとは異なっていました。

腸内細菌を除去することが運動意欲に影響するかどうかを調べるため、ハイランナーマウスに抗生物質を投与しました。するとハイランナーマウスの自発的な運動が劇的に減少し、1日に走る距離が21%短くなったうえ、抗生物質の投与を止めてからの12日間では元に戻りませんでした。

今回の研究ではマウスの腸と脳の関係を探っています。実験の詳細は割愛しますが、遺伝子はマウスの運動の成績にごくわずかな影響しか及ぼしておらず、腸内細菌の違いがかなり重要であることが分かりました。

また幅広い種類の抗生物質を投与することでマウスの腸内細菌を除去すると、マウスの持続力は半分に低下しました。逆に運動の成績の良いマウスの腸内細菌を移植された無菌マウスは運動能力が大きく向上しました。

実際に運動意欲を高める2種類の細菌を同定しています。これはあくまでマウスでの実験ですので、ヒトに対して直接的な結論を出せるものではないとしていますが、やはり運動能力と腸内細菌は密接な関係がありそうな気がします。


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