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花粉症増加の本当の原因は「潔癖症」か

2023-05-03 10:36:25 | 健康・医療
今年の花粉の飛散量は例年になく多く、花粉症の人は大変な時期となったようです。花粉症の話しでは毎回触れていますが、私は76歳になっても発症していませんので、もう花粉症になることはなさそうです。

少し前まではこの時期にマスクをしている人が花粉症だろうと見ていたのですが、現在はコロナ対策マスクが続いていますので、花粉症患者数を感じることはできていません。それでも最近は患者数は年々増加しているようです。

環境省のあまり正確かどうかわからないデータによれば有病率は、1998年が19.6%、2008年29.8%、2019年42.5%となっています。つまり10年ごとにほぼ10%増加していることになります。

花粉症は花粉自体に反応しているわけではなく、花粉中に含まれるある種のタンパク質がアレルゲンとなっているとされています。そのため今年は黄砂なども飛散し、黄砂によって花粉が破壊され中のアレルギー物質が出て来るためより症状がひどくなったようです。

私が若いころは花粉症などほとんど聞きませんでしたが、何故ここまで増加したのでしょうか。確かに戦後植林のために大量のスギを植えたというのも原因のひとつですが、その花粉を異物と認識する免疫疾患が増加したことの説明は難しい問題です。

もう15年以上前ですが、私が現役のころ当時「花粉症の大家」といわれていた先生に話を伺ったことがあります。今でもこの先生の説が正しいのかよくわりませんが、その説を紹介します。

花粉症は花粉中のアレルゲンを異物として認識し、免疫機構がそれを排除しようとして発症する免疫異常といえます。ヒトの免疫機構は身体に悪影響を及ぼす異物を排除するための機構で、主に細菌やウイルスなどの微生物に対して働くものです。

この免疫システムは2歳のころまでに確立するとされており、従来は微生物を排除する「細菌免疫」が主なものでした。ところが衛生環境が非常に改善され、乳幼児が微生物に感染することがほとんどなくなってきたのです。

そのため細菌免疫が確立されることがなく、免疫システムのターゲットがないまま大きくなってしまうことになります。そこでターゲットがなくなった免疫システムが、体に何の害もない花粉などを異物と認識してしまうようになったとしています。

この説を裏付ける現象として、回虫などの寄生虫がいると花粉症にはならないことが証明されているようです。この先生は乳幼児に毒性のない細菌をいわばワクチンとして接種することを考えているとしていましたが、その後全く進展はありませんでした。

私はこの説に賛同していますが、近年は抗菌などの徹底が進んでおり、ますます菌に接する機会は減ってきています。このように「潔癖症」化は進む一方ですので、今後も花粉症は増加するのはやむを得ないといえそうです。


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