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アルコールの話し 続

2015-07-30 10:28:39 | 化学
前回アルコール、特にエタノールについて性質や製造法などを書いてみました。ここではエタノールを摂取した場合の、人間での作用など、まあ簡単に言えば酒の話を書いてみます。

アルコールを飲むと、胃及び腸管で速やかに吸収され、血液中に入り全身にいきわたります。その作用は、主に中枢神経系に働き、様々な症状を引き起こします。このあたりは酒を飲んだ後の状態ですので、大体わかると思いますが、どこにどんな作用が強いかは人によって大きく異なるようです。
体内に入ったアルコールは、アルコールデヒドロゲナーゼ(アルコール脱水素酵素)という酵素によって、比較的早く分解されアセトアルデヒドとなります。酒に強い、弱いはこの酵素をどのくらい持っているかによって決まるようです。一般に欧米系の人種はこの酵素が多く、日本人は少ないとされていますが、日本人でも大酒のみはいますので、これも個人差が大きいようです。

私の友人にもこの酵素が欠損しているのではないかという人がいますが、彼はコップ半分ぐらいのビールで真っ赤になり寝てしまいます。この酵素は誘導酵素といわれ、基質となる物質この場合はエタノールですが、これが体内に入ってくると作り出されるという性質を持っています。ですから酒を飲めば飲むほど多く作られ、どんどん強くなるわけです。余談ですが、私は若いころほとんど酒が飲めず、缶ビール1本で気分が悪くなっていました。それが多分40歳を過ぎたころ、接待などで酒の席が増えるに従い、急に飲めるようになりました。このあたりで酵素の誘導能が上がったようです。

エタノールは分解されて(酸化されて)アセトアルデヒドになりますが、これは人間にとってかなり有害物質です。酒に酔うという症状は、エタノールだけでなく、このアセトアルデヒドの作用も加わって悪酔いとなるわけです。酒飲んだ後の酒臭いにおいは、ほとんどがアセトアルデヒドのにおいであり、二日酔いの原因物質もアセトアルデヒドとなります。実際にはこれもすぐにさらに酸化され、無害の酢酸となって排出されます。エタノールは酵素によって2段階の酸化を受けるわけですが、いくら飲んでも変わらないという人は、特に2段階目の酵素が強く、速やかに酢酸まで代謝してしまう人といえます。

こういった一連の代謝は、主に肝臓で起きますので、飲みすぎると肝臓に負担がかかるといわれています。ただ私の感じでは、肝機能は非常にしっかりしており、特に肝臓が悪い人でなければ、あまり問題にならないような気がします。アルコール中毒の問題などありますが、ほどほどに楽しく飲めれば、酒は悪いものではないと思っています。エタノールを科学的に説明するつもりが、酒の話になりましたが、飲酒関連はもう少し書くかもしれません。

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