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発達障害と腸内細菌の驚くべき関連性

2024-10-19 10:34:29 | 健康・医療
最近脳腸相関という言葉をよく目にしますが、このブログでもヨーグルトと長寿との関連などを取りあげています。

これは腸と脳は情報のやりとりをしてお互いの機能を調整する仕組みがあり、いま世界中の研究者が注目する研究対象となっているようです。

近年発達障害や気分の落ち込み、さらには幻覚や妄想など心身にさまざまな影響が出る疾患(精神疾患)と腸内マイクロバイオータや腸内代謝物との関連も非常に注目を集めています。

自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などさまざまな名称で呼ばれてきた発達障害のことを、2013年からまとめて自閉スペクトラム症と呼ぶようになりました。これはアメリカ精神医学会の診断基準に基づいたものです。

自閉スペクトラム症は、数多くの遺伝子が互いに複雑に影響し合うことで発症すると考えられています。主な症状としては、言葉の遅れや会話が成り立たないなどの社会的コミュニケーションの困難さがさまざまな場面で見られます。

他者と感情を共有することが苦手で、対人的な相互関係を築くことが難しかったりもします。また興味や関心がひとつの事柄に限定されやすく、こだわりが強く、感覚過敏であったり、逆に鈍かったりするなど感覚についても困難さが見られることがあります。

こうした特徴だけでなく、身体に現われる症状もあります。自閉スペクトラム症児は、正常児と比較して胃腸炎や腹痛が多くみられ、腹部にガスが蓄積しやすく、下痢、便秘、排便痛といった消化器症状を示す傾向になるとされています。

また自閉スペクトラム様症状が重いほど、消化器症状も重くなることが経験的に知られています。そのため自閉スペクトラム症は、遺伝子の変異だけでなく、腸内のマイクロバイオータや腸内代謝物もその発症に関与しているのではないかと考えられていました。

そうした腸の関与を調べるために、実験が行われました。まずヒトの自閉スペクトラム症児から採取した糞便中に含まれる腸内マイクロバイオータを、無菌マウスに移植します。その後このマウス同士を掛け合わせ、生まれてきた赤ちゃんマウスの行動を調べるのです。

その結果移植された親から生まれ育ったマウスは、同じ行動を何度も繰り返す反復行動が高まり、自発的な運動量も減り、社会性が低下するという自閉スペクトラム様症状を示したのです。

次にこのマウスの脳で使われている遺伝子を調べたところ、糞便移植していないマウスと比較して560種類以上もの遺伝子の使われ方が変化しているものの、遺伝子自体に変異はありませんでした。

このことから遺伝子自体に変異が入るのではなく、遺伝子の使われ方が変化することで自閉スペクトラム症が発症することが示唆されました。

その他いろいろ分かってきたのですが、脳腸相関はかなり複雑なものであることは確かなようです。


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