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乾いた咳の過敏性肺炎

2021-01-09 10:23:34 | 健康・医療
非常に小さな物質を繰り返し吸い込むことで起きるのが「過敏性肺炎」です。原因となる物質で多いのが、夏場に湿気で屋内に発生するカビでアレルギー反応によって肺に炎症が生じます。

カビによる過敏性肺炎は、7月をピークに6〜9月に発症するため「夏型過敏性肺炎」とも呼ばれ、湿度がより高い西日本に患者が多いとされています。

呼吸で気管と気管支を通った空気は、肺にある小さな袋(肺胞)に運ばれます。高温多湿になると繁殖する「トリコスポロン」というカビは、胞子の大きさが3〜10マイクロメートルと小さく肺胞まで入り込みます。

身体には細菌やウイルスなどの病原体や異物が侵入すると、免疫細胞の一種「リンパ球」などが攻撃する仕組みがあります。カビを常に吸い込むような環境だと、攻撃が過剰になり肺胞など自分の組織も一緒に傷つけて炎症を引き起こします。

カビ以外にも鳥の糞や羽毛につくタンパク質なども原因となるので、羽毛布団やダウンジャケットには注意が必要です。個人差もありますが、症状には発熱や咳、息切れなどがあります。

肺ではアレルギー反応による炎症が起こり、繰り返すと肺胞が硬くなり酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなります。発熱は微熱から高熱まで人によって様々です。典型的な症状は「痰の出ない乾いた咳」です。

病原体が原因となる一般的な肺炎は、血液中の白血球が集まり攻撃して分泌物が増え、痰がでます。過敏性肺炎はアレルギー反応による咳のため、分泌物が少なく痰が出ません。

胸部レントゲンやCTの画像で肺の状態を確認し、血液検査でアレルギーの要因となる抗体が出ればほぼ診断できます。軽症なら3日ほど入院して様子を見るうちに回復しますが、抜本的な対策には原因となるカビの除去が欠かせません。

エアコンや加湿器、台所、ふろ場などにカビは繁殖しており、掃除やリフォームで環境を改善します。必要に応じてアレルギーを抑えるステロイド薬を飲みます。呼吸困難を起こすほどの重症患者には、酸素吸入やステロイド薬の点滴治療を行います。

症状が半年以上続くと慢性化しており、急激に悪化すれば命にかかわることもあるため、免疫を抑制する薬を使います。新型コロナの影響で、今年は過敏性肺炎の診断が難しくなっています。レントゲンやCTで肺を撮影すると、新型コロナ患者に特徴的なすりガラス状の影が同様に見つかるためです。

このように過敏性肺炎は比較的多い病気のようですが、軽症から重症まで治療法は確立していますので、怪しい症状が出た場合は早めに診断を受ければそれほど問題の無い病気といえるようです。その前に家の環境を整える方が先かもしれません。


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