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医療現場で頼りになる医師の「直観」を適正に評価

2024-02-23 10:34:51 | 健康・医療
最近の医療現場では、医師が検査結果などの数値を基に判断することが多いような気がしていますが、医師や看護師の「直観」(臨床的直観)が重要とされ、ようやく適正な評価を受けるようになってきたようです。

医療データを分析して診断や治療を行う人工知能(AI)システムの開発に関心が高まる一方で、臨床の場での直観についても研究が進められ、重要性も高まっています。

2023年3月の論文では、むち打ち損傷に関わる障害を持つ患者の機能の回復について、理学療法士の臨床的直観による予測は、患者が経験する回復の仮定と密接に結びつくことが示されています。

また2023年6月の別の論文では、手術後に起こる合併症について、手術前の外科医の直感のみに基づく予測にも、臨床データに基づく予測モデルと比較できるほどの精度があることを示しています。

臨床的直観とは、経験によって蓄積された専門技術、知識、パターン認識の集合体です。頭の中ですべての情報がまとめられ整理されて、目の前の患者が本当に重症なのかどうかを判断している、と研究者は述べています。

この認知プロセスの奥深さを考えると、AI技術が人間の医師と同じくらい上手に医学的判断を下せるかどうか懐疑的な専門家もいます。一部の医療従事者が特に直観を働かせていることは確かです。

また2023年3月の別な論文では、緊急性や複雑性が高い医療部門(麻酔科、産科、神経科、集中治療室など)に従事する医師や看護師の場合、現場で直観に基づく意思決定を行う機会が多いことが明らかにされています。

構造化されたデータは、目の前にいる患者から得られる情報と一致しないことがあるそうです。ハーバード大学のチームは、救急医療、内科、家庭医療の医師30人に聞き取り調査を行い、医療現場で直観をどのように働かせているかを調べました。

その結果、稀な症例や過去の誤診、好ましくない経過などを警告する直観を、ベテラン医師たちが何度も経験していることが確認されました。

研究の結果、救急部門を訪れた高齢者が30日以内に死亡するなどの良くない結果になる可能性に関して、医師や看護師の直観は非常に正確であることが分かりました。またそうした直観が患者自身の自己評価と合致する場合、診断はより正確でした。

このような医師の直観により助かったケースなども多いようですが、どうも「直観」という言葉があまり良くないのかもしれません。医師などは経験から来る多くの事例の総合判断で決断しているのであって、単なる直観とは言えないのかもしれません。

こういった瞬時に行う総合的判断は、人間だからこそできる物であり、AIでは置き換えることができない事例のような気がします。


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