ごっとさんのブログ

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チタンが生体組織接着材に

2020-05-20 10:26:59 | その他
金属のチタンの表面に簡単な処理を施すだけで、生体の柔らかい組織と瞬時に接着するようになることを発見したと岡山大学などの研究グループが発表しました。

新しい接着材として、医療への応用が期待されるようです。研究グループはチタンの表面を塩酸と硫酸の混合液を使って70度で10分以上処理し、水素化チタンに変化させました。

これを皮膚の内側の層や筋膜などの生体組織に軽く押しあてると、すぐに高い接着力を生じることが分かりました。簡単な処理ですが、チタンの表面は疎水化するとともに著しい結合水量の減少が生じます。

この状態が生体軟組織との疎水性相互作用を増強し、接着力が生じると考えられています。研究グループによると、血液が固まる性質を利用した従来の医療用接着剤であるフィブリンのりと比べ、接着力は3倍以上となっています。

実用化すれば医療機器の体内への埋め込みや手術に応用でき、作業の簡便化につながるとしています。のりやボンドは液状のものが化学反応で固化しますが、今回の接着材はこれとは全く別で、見た目には単なる金属の薄膜です。

既存の概念には無いもので、接着は想像しにくいといえます。今後接着力をさらに高め、用途を広げていきたいとしています。

身体の機能が低下してくると様々な器具を使ってその機能を補おうとします。眼鏡や補聴器、入れ歯などがそうですが、その機能が体内のものである場合、その器具を体内に埋め込んで使うことになります。

人工骨や人工関節、心臓ペースメーカーなどがそれに当たります。こういった金属は生体との適合が当然必要となりますが、チタンは酸素と結びついて表面に強固な不導体皮膜を形成し、溶けだすことがありません。

何らかの原因でチタンイオンが溶出してしまっても、直ちに酸化してしまい、人体に悪影響を及ぼすことがありません。つまりチタンはもともと体内に埋め込めるほど安心な金属として知られていたのです。

また近年生体骨との強固な結合性が得られる表面処理が開発され、長期にわたる人工関節の使用の道が開きました。

この様に生体適合性に優れたチタンは多くの医療用器具として使用されていましたが、今回の薄膜の接着性が示されたことにより、さらに多くの用途が開発されることが期待できます。

チタンについては非常に多くの研究が進んでいますが、今後も生体との関連において面白い知見が発見されそうな気がします。


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