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自己免疫疾患「全身性エリテマトーデス」発症の仕組み

2022-09-26 10:37:33 | 健康・医療
かみさんの友人のリューマチがひどくなり歩くのも困難になってきたようです。自宅がしゃれた作りで色々段差があるため日常生活に苦労しているとのことでした。

こういった自己免疫疾患は加齢とは無関係な気がしますが、最近よく聞くようになりました。

理化学研究所と東京大学の研究グループが、難治性の自己免疫疾患「全身性エリテマトーデス」の発症と悪化では、それぞれ異なる免疫細胞が異なる仕組みで作用していることを突き止めたと発表しました。

さまざまな症状の患者に対し、免疫細胞ごとに遺伝子発現を詳しく調べ異常を多数特定して見出したようです。全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫の仕組みが自己の細胞や臓器を攻撃する疾患で、発症すると寛解と悪化を繰り返し治療が難しいようです。

多くの遺伝子が関係する上に血液のさまざまな免疫細胞が複雑にかかわり、症状が起きる臓器や勢いが患者ごとに大きく異なることなどから、病態の解明が進まず効果的な治療薬もあまりありません。

研究グループは、遺伝子発現量を過去最大規模で網羅的に調べ、病態の詳しい解明を目指しました。さまざまな症状の患者136人と比較対象のための健常者89人の血液から27種類、計6386サンプルの免疫細胞を取り出して調べました。

解析を通じまず発現する遺伝子群のタイプに、(1)寛解状態の患者と健常者での間で発現量が優位に異なる、つまり発症に関わる遺伝子群、(2)悪化している患者と寛解状態の患者の間で発現量が異なる、つまり悪化に関わる遺伝子群、の2通りがあることを見出しました。

27種類の免疫細胞で(1)と(2)の両方のタイプを調べた結果、発現量に差がある遺伝子を細胞1種類当たり平均2000ずつ見つけました。2つのタイプを比べると多くの細胞で、発現する遺伝子の顔ぶれがかなり違っていました。

このことから発症と悪化とで異なる仕組みが働いていると見られることを発見しました。症状が起こる臓器が違うと、活性化する免疫細胞が異なることも示しています。

既存の治療薬の働きを調べたところ、治療薬が抑える遺伝子群と悪化に関わる遺伝子群とが、効き目があった患者ではよく一致しました。つまり治療薬が悪化に関わる遺伝子群を抑えることで、効能を持っていることが分かりました。

研究グループは、「発症と悪化では異なる病態メカニズムがあることが分かりました。この成果を基に新たな治療薬の開発が期待できる」と述べています。こういった自己免疫疾患では、個々の患者の症状も異なりなかなか確定診断も難しいようです。

発症と悪化のメカニズムの一端が解明できたとはいえ、まだまだこのSLEなどは難病として残りそうな気がします。


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