私はうつ病は単なる気分の問題程度に考えていましたが、職場の後輩が発症した時に詳しく症状を見て、これはかなり重篤な精神疾患であると認識を新たにしました。
WHO(世界保健機関)によると、「気分が落ち込む」「何に対しても興味や喜びを感じない」といった症状が表れるうつ病は、2021年時点で世界で約2億8000万人もの人が苦しんでいる精神疾患とされています。
厚生労働省によると、日本では100人のうち約6人という高い頻度で発生しています。うつ病は統合失調症や双極性障害などに比べて、遺伝要因よりも環境要因が発症に強く影響するという調査報告があります。
精神的ストレスや身体的ストレスなどの環境要因によって、誰もが発症する可能性がある精神疾患だといえるでしょう。現在ではさまざまな種類の抗うつ薬が開発されています。
その多くは脳の広い範囲に拡散して気分を安定させたり高めたりする、セロトニンやノルアドレナリンという神経修飾物質の働きを強めるものです。既存の抗うつ薬は副作用が軽減され、うつ病の患者のうち7割ほどの人たちの症状を改善しますが、まだ問題点が残されています。
服用を始めても治療効果が出るまで数週間かかる一方で、副作用はすぐに表れるため服用をやめてしまう患者がいるようです。また既存の抗うつ薬はうつ病患者のうち3割には効果が出ず、そもそもうつ病発症のメカニズムがよく分かっていません。
近年新しい視点や技術によって、うつ病の発症メカニズムに迫る研究が進展しており、そのひとつが慢性ストレスによる脳内炎症がうつ病を引き起こすという仮説です。
うつ病の発症リスクにもなるストレスは、もともと物理学の用語で物体に力を加えた時に生ずる「ひずみ」のことです。これがホルモン研究と結びついて、刺激によって体や心がひずむ状態を生物学的なストレスと呼ぶようになってきました。
ストレスを受けると脳にあるホルモン分泌の司令塔である視床下部と下垂体の指令により、腎臓の上部にある副腎皮質からグルココルチロイドの分泌が促されます。
そしてこのグルココルチロイドを動物に投与すると、学習や記憶に重要な海馬という脳領域の神経細胞が変化することが発見されました。こういった脳の変化はうつ病の患者でも起きていて、海馬と前頭前野の一部の体積が縮小しているという報告があります。
このうつ病発症のメカニズムはまだ研究途中ですが、こういった知見に基づくとうつ病患者の所見をうまく説明できるようです。こういった研究から抗うつ薬の開発にはまだ時間がかかりますが、新たな治療法の開発につながるのかもしれません。
WHO(世界保健機関)によると、「気分が落ち込む」「何に対しても興味や喜びを感じない」といった症状が表れるうつ病は、2021年時点で世界で約2億8000万人もの人が苦しんでいる精神疾患とされています。
厚生労働省によると、日本では100人のうち約6人という高い頻度で発生しています。うつ病は統合失調症や双極性障害などに比べて、遺伝要因よりも環境要因が発症に強く影響するという調査報告があります。
精神的ストレスや身体的ストレスなどの環境要因によって、誰もが発症する可能性がある精神疾患だといえるでしょう。現在ではさまざまな種類の抗うつ薬が開発されています。
その多くは脳の広い範囲に拡散して気分を安定させたり高めたりする、セロトニンやノルアドレナリンという神経修飾物質の働きを強めるものです。既存の抗うつ薬は副作用が軽減され、うつ病の患者のうち7割ほどの人たちの症状を改善しますが、まだ問題点が残されています。
服用を始めても治療効果が出るまで数週間かかる一方で、副作用はすぐに表れるため服用をやめてしまう患者がいるようです。また既存の抗うつ薬はうつ病患者のうち3割には効果が出ず、そもそもうつ病発症のメカニズムがよく分かっていません。
近年新しい視点や技術によって、うつ病の発症メカニズムに迫る研究が進展しており、そのひとつが慢性ストレスによる脳内炎症がうつ病を引き起こすという仮説です。
うつ病の発症リスクにもなるストレスは、もともと物理学の用語で物体に力を加えた時に生ずる「ひずみ」のことです。これがホルモン研究と結びついて、刺激によって体や心がひずむ状態を生物学的なストレスと呼ぶようになってきました。
ストレスを受けると脳にあるホルモン分泌の司令塔である視床下部と下垂体の指令により、腎臓の上部にある副腎皮質からグルココルチロイドの分泌が促されます。
そしてこのグルココルチロイドを動物に投与すると、学習や記憶に重要な海馬という脳領域の神経細胞が変化することが発見されました。こういった脳の変化はうつ病の患者でも起きていて、海馬と前頭前野の一部の体積が縮小しているという報告があります。
このうつ病発症のメカニズムはまだ研究途中ですが、こういった知見に基づくとうつ病患者の所見をうまく説明できるようです。こういった研究から抗うつ薬の開発にはまだ時間がかかりますが、新たな治療法の開発につながるのかもしれません。
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