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パーキンソン病の根本原因の一端を解明

2023-04-23 10:33:07 | 健康・医療
全身の震えや手足がうまく動かせなくなるなどの症状が出るパーキンソン病については、もう半世紀も前のことですが、私が入社して最初のテーマでした。

当時の情報としては、パーキンソン病は神経伝達物質であるドーパミンが不足することが原因であるとされていました。しかしこのドーパミンを投与しても、脳血管関門を通過せず脳内に入れることはできませんでした。

そこで類似物質であるDOPAが脳内に入り、ドーパミンに変換されることが分かりDOPAの生産法が課題となっていました。

この方法として微生物での発酵生産と、フェニルアラニンからの酵素法での変換が検討されていました。私はこの酵素の研究室に配属されたのですが、この変換酵素がソラマメの鞘の部分に含まれていることが分かりました。

そこでソラマメを大量に購入し、鞘から酵素の抽出などを行いました。実の部分は不要なのですが、捨てるのももったいないと大量にゆでて、休み時間などよく食べていました。

私はその後すぐに大学に派遣されましたので、詳細は分かりませんが、結果的には発酵法が成功し数年後、世界で初めてパーキンソン病の特効薬としてDOPAが発売されています。

さて大阪大学の研究チームが、パーキンソン病の原因物質が脳内に溜まる仕組みを解明したと発表しました。患者の脳内ではもともと存在するタンパク質の「シヌクレイン」が異常な構造に変化し、それが複数集まった凝集体が神経細胞を痛めるといわれています。

研究チームは「脂質がシヌクレインの凝集のカギを握る」という過去の研究成果に着目しました。細胞内に存在する主な脂質約30種について調べたところ、「PIP3」という脂質がシヌクレインと強く結びつくことが判明しました。

次にPIP3をシヌクレインと混ぜたところ、患者の脳内にある異常なタンパク質の凝集体と形や性質が似た構造の物ができました。また培養した神経細胞などを使って調べたところ、シヌクレインはPIP3に反応して凝集体になることも確認しました。

患者の脳内では、PIP3を分解する酵素が何らかの原因で減るため、PIP3が過剰になっていると考えられます。

パーキンソン病の治療は、神経細胞が傷んで情報伝達物質が滞るため、ドーパミンを補充する対症療法が主となっています。研究チームは、PIP3の過剰な発生やシヌクレインとの結合を抑える薬剤が開発されれば、発症を妨げる可能性があるとしています。

このように新たな原因物質が明らかになりましたが、なぜ脂質であるPIP3が過剰になるのかなど、まだ課題は多いような気がします。


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