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微生物が作り出す未来の食料

2021-12-10 10:25:35 | グルメ
日本では少子化が大きな問題となっていますが、世界全体では人口増加が続いており今後食糧難になることが指摘されています。

現在でも約8億人が栄養不良の状態にあるといわれており、食糧安全保障が今後重要な問題になることは確かです。

そのため近年では大豆などのタンパク質を肉に加工する人工肉などが、すでに実用化されつつあります。もっと効率の良い食料生産として、微生物を利用する方法が進展しているようです。

微生物を培養するためには、そのエサが必要であり、私の勤務していた会社では各種のアミノ酸を生産していますが、炭素源として廃糖蜜を使用しています。廃糖蜜は砂糖を作るための精製工程から出る廃液の一種ですので、有効利用といえますが資源としては限りがあります。

当社では微生物にタンパク質を作らせるという研究は、既に40年以上前に行っています。これは炭化水素資化性菌という微生物を使い、石油から作られる炭化水素をエサに培養し、菌体からタンパク質を簡単に取り出す技術も完成しました。

このタンパク質をどう加工すれば本物に近い食感が得られるかの研究で、官能試験に駆り出されこの肉を食べた記憶があります。

これは順調に実用化されるかと思っていましたが、メディアで取り上げられるとき「石油タンパク」という表現が使われました。これに対し消費者団体などから猛反発が出て、石油のような危険なものを食べることはできないとして中止になってしまいました。

それ以来微生物から肉を作るという研究は行っていませんが、広報の難しさを感じた事件でした。

さて最新の研究では、微生物から太陽光発電を活用することで、タンパク質を作ることができるようです。

ソーラーパネルからの電力と空気中の二酸化炭素を利用して微生物の燃料(エサ)を作り、それを使って微生物をバイオリアクター槽で培養し、乾燥したプロテインパウダーに加工する技術です。

このタンパク質の量は、ダイズなどの作物の10倍以上になるという研究結果が発表されました。これは大量の気候変動ガスや水質汚染を引き起こす畜産業とは対照的で、このシステムは環境にほとんど影響を与えません。

太陽電池と微生物を使ったプロセスでは、1ヘクタールあたり年間15トンのタンパク質を生産することができ、少なく見積もっても520人のヒトを養える量になるとしています。

これに対し同じ面積の畑から生産される大豆たんぱく質は1.1トンで、40人分の食料に留まるようです。この具体的な詳細は分かりませんが、今後の食糧不足を考えると、微生物によるタンパク質生産は必須の事業と思われます。

現在の加工技術があれば、微生物タンパク質と動物の肉と区別がつかないようになりそうですので、こういった食品が使われるのは時間の問題かもしれません。


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