柘榴（ザクロ）が高齢者の記憶力を向上

ザクロはもう何十年も食べたことがありませんが、子供のころ庭にザクロの木があり、実がいって割れてきたころによく食べていました。

非常にきれいな実ですが、食べると口の中に種が残りそれほど美味しいという記憶はありません。庭になれば食べるものの、買ってまで食べるほどのものではないという感じがあり、その後食べたことがないのかもしれません。

ザクロはギリシャ神話にも登場しており、古くから美容に良いとされ食用とされてきたようです。またザクロの根の皮と樹皮に整腸や駆虫作用があることから、漢方にも使われています。

日本では主に観賞用が多かったのですが、近年その健康効果が注目され、国内でもジュースや料理に使うことが増えているようです。ザクロに含まれる栄養素のうち、アントシアニン、エラグ酸、タンニンが注目されています。

ザクロの実はきれいな赤色をしていますが、この元となるのがアントシアニンです。アントシアニン類はポリフェノール構造を持ち、目の働きを向上させるといわれています。

エラグ酸は面白い構造を持ち、その単量体である没食子酸は時々実験で使用しましたが、酸素に触れるとすぐに着色し、非常に抗酸化作用の強い化合物でした。エラグ酸にはメラニンの生成を抑える働きがあり、最近の研究ではシミの生成を防ぐ効果があるとされています。

またホルモンの一種で血糖値を上昇させ肥満や糖尿病に関わるレジスチンの分泌を抑える働きも報告されています。タンニンは抗菌作用もあるポリフェノールで、漢方における整腸や駆虫作用のもとの成分のひとつと考えられます。

近年ザクロには女性ホルモンが含まれているとされましたが、その後の調査によるとザクロの果汁や種子からも女性ホルモンは確認できていません。

女性に嬉しい美容に関わるような栄養素が豊富なので、女性ホルモンの話が出てきたのかもしれませんが、クメステロールと呼ばれる女性ホルモンに似たイソフラボンが検出されただけでした。

やはりザクロの健康効果はポリフェノール類による抗炎症作用や抗酸化作用を発揮しているためと考えられます。高齢者にザクロジュースを飲んでもらったところ、血液中の抗酸化作用の向上に加えて、記憶テストの成績がアップしたという報告もあります。

これは脳の血流量が増えたためと考えられ、しっかりとした思考回路が手に入るのかもしれません。私はこのブログでも医薬品に否定的ですが、こういった食物から色々な化合物を摂取する方がうまく適量を取ることができるような気がします。

ザクロはあまりスーパーなどでは目にしませんが、見かけたらぜひ買ってみようと考えています。