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アルツハイマー病は「脳血管障害」である可能性

2023-07-07 10:33:37 | 健康・医療
認知症はこのブログでもたびたび取り上げていますが、高齢化が進むにつれて患者数も増加し、介護も含めて社会問題となっています。

その多くを占めるアルツハイマー病を「脳血管障害」ととらえて、原因の究明や治療法の開発を行う研究が注目されています。

脳の重さは身体全体の2%ほどですが、血流量でみると全体の15%も流れ込んでおり、脳は「血管の塊」といわれるほど血液を必要とする臓器です。新潟大学脳研究所では亡くなった患者の脳の組織診断のため病理解剖し、認知症をはじめとする脳の病気の原因を研究しています。

最新の光シート顕微鏡では、光を薄く広げて照射することができるため標本の平面像を直接撮影することができ、垂直方向に何枚も積み重ねることで脳血管を立体的に観察することができます。

これにより認知機能が低下している患者の脳血管では、動脈が切れ血管が脱落している部分が観察されました。こうした血管の脱落がアルツハイマー病につながる可能性があるようです。

三重大学の研究結果によると、アルツハイマー病の患者の脳は正常な人に比べ毛細血管が細く短くなっており、脳から切り出した切片で比較すると毛細血管が30%も減少していることが分かっています。

アルツハイマー病で脳血管が脱落するカギとなるのが「アミロイドβ」で、これが脳血管にも溜まっていることが明らかになっています。これは脳アミロイド血管症といわれ、アルツハイマー病の患者の9割近くで起きていることが分かっています。

通常アミロイドβは健康な人でも毎日生み出されていて、多くは脳から排出されています。その通り道が「血管」で内腔に入り、血液とともに流されるのに加え血管の壁の中も通り、脳から排出されています。

アルツハイマー病では、この「血管の壁」を通るアミロイドβの排出がうまくいかなくなると考えられています。加齢や生活習慣病などによって血管が硬くなり血管平滑筋の働きが悪くなると、アミロイドβを排出する力が低下し血管の壁にたまり始めます。

すると血管の壁が厚くなったり、壊れたりして血液が流れにくくなります。こうした要因などでも毛細血管が脱落していき、アルツハイマー病が悪化するのではないかと考えられています。

このようにアルツハイマー病が脳血管障害であるメカニズムは明らかになってきましたが、この知見をどう治療や予防に繋げていくのかは難しい課題といえそうです。

現在アルツハイマー病のアミロイドβを取り除くとされる新薬が承認申請されていますが、本当に期待の新薬となるのかどうか様子を見たいと思っています。


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