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AIが見つける「ガン再発」の特徴

2020-02-07 10:22:54 | 健康・医療
理化学研究所と日本医科大学を中心とする共同研究グループが、日本医療研究開発機構の助成を受けAIを使って大量のガン画像を解析し、ガン再発の診断精度を上げる新たな特徴を見つけたと発表しました。

AI技術のひとつであるディープランニングを医療で使うケースでは、最初に人がAIに学習させたいことを予備知識として与える「教師あり学習」がほとんどでした。

しかしこれでは現在の治験の範囲を越えられないため、研究グループは予備知識を与えずに、診断も印も付いていない大量のガンの組織画像を読み込ませました。その結果AIが自ら画像データの持つ規則性を見つけ出しました。

そこに当該患者の予後情報(患者ごとのガンの再発期間などの手術後の情報)を与えたところ、ガンの再発に関するあるパターンが浮かび上がってきました。

研究グループはAIが見つけた特徴的なパターンを検証するために、日本医科大学が保有する20年間分、1万3188枚の病理画像を解析しました。

するとAIの解析結果は、前立腺ガンの悪性度を示す国際標準指標であるグリゾンスコアによる病理医の診断と比べても高い判別能を示しました。

さらに多施設による検証のため、聖マリアンナ大学、愛知医科大学の協力を得て新たに病理画像計2276枚を解析したところ、日本医科大学とほぼ同等の結果が出ました。

現状病院ごとに特化し他の病院では使えないケースも多いAIですが、このシステムでは汎化性(普遍性)の高い情報を得られているという事になります。この技術のポイントは、AIが獲得したパターンを、さらに人間が理解できる画像情報として表示できるところにあります。

AIが見つけた再発しやすい画像には、グリソンスコアに相当するガンの診断基準が含まれているうえ、今まで気づかれていなかった特徴も含まれていたようです。

例えばガン細胞だけでなく、間質の細胞密度を再発しやすさに影響する因子としてAIは同定しています。間質とは細胞と細胞を接着し支え、情報伝達にも関与する組織です。

この新たな知見がどういった仕組みで再発に影響を与えるのかは今後の研究にゆだねられますが、ガン細胞が無くても間質が密なパターンであれば再発のリスクが高いというAI診断は、病理医による画像診断には無かった治験です。

AIと病理医の診断を合わせることで、診断確度が一層高まると予想されます。この様な画像解析はAIの最も得意とする分野ですが、これをうまく使用すれば、AIが医療の重要なパートナーとなる時代になりつつあるようです。


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