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ビタミンDでガン再発予防

2019-05-29 10:10:57 | 健康・医療
ビタミンDサプリメントが、ガンの発生や再発を予防するか否かを検証する臨床試験が世界中で行われています。

ガン患者とガンではない患者の血液中のビタミンD濃度を比較すると、前者で明らかに低いこと、さらにガン患者の中でも、ビタミンD濃度が高い方が低い場合に比べて再発率や死亡率が低いことが報告されています。

今年4月に東京慈恵会医科大学の研究グループが、8年の歳月を費やしてまとめた「ビタミンDによるガン患者の再発死亡の予防試験」の結果が発表されました。

手術治療後の消化管(食道・胃・大腸)ガンの患者を対象に、ビタミンDサプリメントを1日2000IU(50μg)内服する群とプラセボ(偽薬)群にランダムに分け、どちらの群で再発や死亡が多いか二重盲検法で検証しました。

研究に参加した患者は417人で、ビタミンD群251人とプラセボ群166人に振り分け比較しています。結果は術後内服開始から5年経った時点で、D群の患者のうち再発なく存命だったのは77%でした。

一方プラセボ群では69%で、その差の8ポイントは統計学的に差があるとは結論できませんでした。しかしたまたまビタミンD服用群は年齢が高い傾向にあり、それを補正するとビタミンDが有効と判定されました。

研究では、患者のもともとの血中のビタミンD濃度レベル(高、中、低)で分けた観察も行っています。高レベルは少数なので省いていますが、中レベルでは5年経過で見ると無再発生存率はビタミンD群で85%、プラセボ群では71%でした。

この差は統計学的にも有意で、確実にガンの発生を抑えていました。この結果は「普段から高めの人にはサプリメントの上乗せ効果がある」と解釈できるようです。

同様の研究はハーバード大学も行っており、こちらは手術適用外の大腸ガンに対するビタミンDの効果を見る二重盲検ランダム化プラセボ比較試験でした。この実験もほぼ同様な結果が出ており、全体では有意差がないものの年齢補正をするとガンの進行を抑えるという結果でした。

またBMI(肥満指数)25未満に絞って解析をすると、ガンの発症を24ポイントも有意に予防しており、肥満の多いアメリカではなく日本でやっていればビタミンDがガン発症を防ぐという結果になった可能性もあるようです。

ガンに対するビタミンDの効能で考えられるのは、免疫を介してガンを抑える説が有力ですが、はっきりしたメカニズムは解明されていません。

どんなガン患者にビタミンDが効果的に作用するのかも、まだまだ研究の余地があるようです。ビタミンDという身近な物質がガンの再発予防に確実に効果があるかは、今回の研究ではあまりはっきりしていませんが、興味ある結果であることは確かなようです。

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