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内耳の「蝸牛」が原因の難聴、回復の可能性

2023-12-07 10:31:53 | 健康・医療
私はまだ耳はよく聞こえますが、友人のM君は2年ほど前から老人性難聴になったようです。

静かなところで話しをする分にはあまり問題はありませんが、聞き返してくることも多く、彼と話しをするときはやや声を大きくしています。

この難聴にも色々原因があり、外耳や内耳の障害で起きる伝音難聴は、薬物投与や手術によって聴力の回復が期待できます。一方内耳にある蝸牛や脳の障害などによって起こる感音難聴の場合、補聴器で聞こえを補うことはできても、その機能を回復させるのは今の医学では困難なようです。

ただし蝸牛の障害が原因となっている場合には、人工内耳手術という選択肢が検討されることがあります。外耳から中耳を通って内耳まで届いた音の振動は、蝸牛のなかの有毛細胞によって電気信号に変換されます。この信号が聴神経を介して脳へ伝えられて初めて音を認識するのです。

これが正常な聞こえの仕組みですが、人工内耳とは簡単にいえば蝸牛の代わりをしてくれる人工臓器、つまりキャッチした音を人工的に電気信号に変え、その信号で直接聴神経を刺激する装置です。

人工内耳は音を集めるマイク、その音を電気信号に変換するスピーチプロセッサ、信号を体内に送る送信コイルおよびそれらをつなぐケーブルで構成される体外装置と、耳介の後ろの皮膚の下に埋め込まれる受信装置、蝸牛の中に埋め込む電極とで構成されます。

体外装置の主流は耳にかけ式補聴器に似たタイプですが、耳にかけず後頭部に取り付けるコイル一体型の体外装置も製品化されています。マイクで集めた音はスピーチプロセッサで電気信号に変換され、送信コイルを介して耳の後ろに埋め込んだ受信装置へ送られます。

受信装置に伝わった信号は、蝸牛の中に埋め込まれた電極から聴神経を刺激して脳へ送られ、こうして音が認識されるのが人工内耳の仕組みです。1994年に人工内耳手術の保険診療が可能になり、日本での手術件数は2015年には1000件/年を超え、その後も増加しています。

このように人工内耳は大きく進歩しており、保険の適用も拡大され小児にも適用できるようになっています。ただし人工内耳を通して聴く音はあくまでも機械的に合成されて音であるため、根気強いリハビリを行うことが重要のようです。

そのため特に小児の場合は、手術前後の複数の専門機関での一貫した支援体制が整っていることが大切としています。

私が難聴になっても人工内耳の手術を受けることはないのですが、こういった治療の選択肢が増えることは安心できるといえそうです。


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