ごっとさんのブログ

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日本製のコロナワクチンはなぜ出遅れたか

2021-07-17 10:29:59 | 
このブログでも書きましたが、先日私は1回目のコロナワクチンを接種してきました。

このワクチンはファイザー社製のものでしたが、どうせ打つなら日本製の方が良かったというのは多くの人が感じることではないでしょうか。

欧米諸国では数カ月で完成したのに、科学技術立国であるはずの日本がなぜここまで出遅れてしまったのかについては、多くの人が解説しています。だいたい同じような論調なのですが、それを踏まえて私の感想を書いてみます。

結論から言いますと国の感染症に対する危機意識が希薄だったことが一つの理由と思われます。創薬研究をしてきた立場から、医薬品の開発自身が賭けの要素があり、ワクチン開発というのはもっと大きなギャンブルと言えます。

従って民間企業がワクチン開発に多額の費用をかけること自体リスクが大きすぎるといえます。こういった分野に必要なものはやはり国の資金ですが、日本は感染症に対してほとんど金を出していなかったようです。

もうひとつが海外の企業があまりにも早く開発してしまったことも挙げられます。通常ワクチンの開発には数年かかるというのが常識でしたが、RNAワクチンという最新技術を使うことにより、わずか数カ月で完成してしまったのです。

実は日本でもこのRNAワクチンの研究が東京大学医科学研究所で行われていました。2018年にはMERS(中東呼吸器症候群)のワクチンがほぼ完成しました。

この件についてはこのブログでも紹介したのですが、私はRNAワクチンについてはやや懐疑的な感じを持っていました。このワクチンの臨床試験を計画していたようですが、国からの資金が出ず、また共同研究の製薬会社も実施することができず中断してしまいました。

このMERSは日本に入ってこず、海外でも簡単に終息してしまいましたので、当時としてはやむを得なかったのかもしれませんが、もしこのワクチンが完成していればとやや残念なところです。

その点海外ではこのMERSやSARSのRNAワクチンが完成していたようです。RNAワクチンは投与したRNAが細胞に取り込まれて、翻訳されウイルスのタンパク質となるかがカギでしたが、このRNAを細胞内に入れるベクターと呼ばれる運び手をうまく見つけ出していました。

つまりRNAを入れるための「容器」が完成しており、新型コロナの遺伝子情報が分かれば、すぐにそのRNAを容器に入れるだけでワクチンが完成する準備ができていたわけです。

米国、英国、中国、ロシアは、感染症対策特にワクチン開発を「国の安全保障の柱」と位置付けて、数千億円規模の予算を投入していたようですので、元々勝てる見込みはなかったようです。

海外製のワクチンでも、オリンピックのおかげで必要な量が確保できたのでよしとするのかもしれません。


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