ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

世界で最も患者数の多い病気 歯周病

2019-06-20 10:16:20 | 健康・医療
世界一の記録を集めたギネスブックに2001年、「世界で最も一般的な病気」として掲載されたのが「歯周病」です。

歯周病は歯茎に炎症が起こり、歯を支える骨が破壊される病気ですが、その害は口の中にとどまらず、認知症や糖尿病、動脈硬化の原因になるなど全身に及ぶことが、近年明らかになっています。

歯周病は、唾液感染する細菌によって引き起こされる感染症で、サイレント・ディジーズと呼ばれ気がつかないうちに大きく進行していきます。

ヒトの口の中には約700種の細菌が住みついており、これらの細菌が集まって、歯の表面でスクラムを組んでへばりつき、その中でどんどん増えていきます。このへばりついた細菌を「歯垢=デンタルプラーク」といい、1gの歯垢の中には1000億もの細菌が確認できます。

歯と歯茎の境界にへばりついた細菌が歯肉の細胞まで入り込み、歯茎が炎症を起こして腫れたり、出血が始まったりします。これが歯周病の第1段階で「歯肉炎」という状態です。

炎症が進むと歯と歯茎に隙間ができ、奥へと広がっていきます。この間隙を「歯周ポケット」といいます。その深さを測ることで歯周病の進行度を知ることができます。歯肉炎がひどくなると病名が歯周炎に変わります。

歯周炎は歯肉だけではなく、歯を支えている骨が溶け始めた状態です。初期では、腫れてかゆみ等を感じ歯磨きの時出血したりします。症状がさらに進むと、歯茎の色が赤紫や黒っぽく変わりはじめ、口の中が粘つき口臭が出てきます。

それを過ぎて歯がぐらつき初め、見た目でも歯茎が下がったのが自覚できる状態になると重度の歯周病で、やがて歯が抜けてしまいます。

歯周病には、15~30年かけて進行する慢性歯周炎と、2~10年で進行する侵襲性歯周炎があります。このうち侵襲性歯周炎は、全体の10%未満で10~30代で発症し進行が速いのが特徴で、遺伝的要因の関与も考えられています。

全身への影響でまず起こるのが血管の硬化です。これは歯周病菌などが血管に直接障害を与えたり、炎症が起こった時にに作られるサイトカインというタンパク質によって引き起こされると考えられています。

硬化して狭くなった血管が詰まると、心筋梗塞や脳梗塞といった病気を発症することがあります。また歯周病と糖尿病の負の相互作用にも注意が必要で、糖尿病になると体の抵抗力が弱まることが知られています。

歯周病菌に対しても例外ではなく、糖尿病で歯周病の症状が悪化します。また歯周病で血糖のコントロールが悪化し、糖尿病にかかり易くなったり症状が悪化したりするという関係も明らかになってきました。

その他歯周病菌の毒素がアルツハイマー病の患者の脳内で見つかったという報告もあり、認知症との関連もあるようです。

しかし最も患者の多い歯周病で多くの生活習慣病になるのであれば、ほとんどの人が病気になりそうですが、こういった可能性があるという程度でよいのかもしれません。

終身雇用制度と日本社会 続

2019-06-19 10:25:53 | 時事
先日終身雇用制について、企業内(会社)教育という日本独自の制度からこの必要性について書きました。

終身雇用制のメリットとデメリットは非常に多く考えられますが、ここでは絶対に公にならない観点から必要性に触れてみます。これはあくまで老人の独断と偏見による解釈ですので、独り言みたいなものです。

日本には多くの人が暮らしていますが、全員が同じ能力であることはあり得ません。能力と言っても実に様々で、個人によって全く異なっているものですが、ここではそういったことを全部まとめて、いわば生きるための能力といったものとして見ています。

この能力の非常に高い人から劣る人までをグラフとしてイメージすると、低い方がやや膨れている正規分布図のようになるでしょう。この右のほうの人を強者、左を弱者と表記しますが、特に意味はない単なる符号です。

この強者に関しては、終身雇用でトップを目指しても良いし、転職してより良い待遇を探す、または派遣として好きな働き方をする、場合によっては起業したりも可能な人ですので、どんな制度かなどは関係がなく、ほっておいて良い人たちと言えます。

大多数を占める平均的な人たちは、終身雇用はあった方が良いといえます。こういう人が自分が強者だと勘違いして、転職すると給料が下がってしまったり、最悪非正規から抜け出せなくなるといったことはありますが、それほど多いわけではなく問題とすることではありません。

問題は弱者で、どんな企業も右側の人を採用したいと苦労しますので、就職の時から試練が始まるわけです。それでも現在の制度は何とか就職できるようになっています。就職もせずニートやフリーターになるのは、勘違いしている平均的な人が多いような気がします。

弱者でもいったん就職してしまえば、昇進や待遇面で不満が出るかもしれませんが、職を奪われることは無いというのが終身雇用制度です。現在の日本の企業は、こういった弱者を抱えても、強者が引っ張っていくことにより企業活動が成り立つだけの体力がついているような気がします。

現在の問題点はこういった状況での年功序列賃金の維持かもしれません。この年功賃金制は、格差を広げないという点では非常に優れていますし、弱者でもそれなりの給料がもらえるという、救済的な面もあります。

これで損をする(能力に見合った給料とならない)のは強者ですが、それなりに評価され昇進しているはずですので、我慢してもらっても良いでしょう。

以上のように弱者を守っていくための制度として、終身雇用というのは重要な役割をしていると思っています。これは私自身がやや強者側にいた前提ですので、多分批判はありそうな気がします。

ミネラルウォーターの種類や違い

2019-06-18 10:24:20 | グルメ
現在は水と言っても実にさまざまな種類のミネラルウォーターが売られています。

私は家の水道水が非常に良い水で、山の天然の湧水に近い水源から取っているという事もあり、普通に水道水を飲んでいます。かみさんはペットボトルの水が好きで、2Lのボトルを購入して飲んでいますが、時に銘柄などを気にしてはいないようです。

売られている水は大きく分けて4つに分類されるようです。ナチュラルウォーター、ミネラルウォーター、天然水、ボトルドウォーターという分類がされています。

まず「ナチュラルウォーター」とは、特定の水源から採取されて地下水に、特定の処理を施したものを指します。

そして地下で滞留・移動する過程でミネラル分が溶解したものが「天然水(ミネラルナチュラルウォーター)」と呼ばれ、「ミネラルウォーター」はミネラルを含んだ水の総称で、人工的にミネラル分を加えたものもミネラルウォーターと呼ぶようです。

この3つと異なるのが「ボトルドウォーター」で、これは水道法で規定された基準に照らし合わせて「飲用適」と認められている水のことで、これをボトルに詰め替えた水とされています。

「バナジウム水」というのもありますが、これは天然または人工的にバナジウムを多く含む水です。一般的には糖尿病の予防効果や脂肪燃焼促進、美容効果が期待されている水です。

こう書くと分類されているもののどこが違うかよく分かりませんが、販売上の便宜的な分類なのかもしれません。

その他にも炭酸水、酸素水、水素水など人工的に成分を加えたものや、深海の水を汲んだ海洋深層水、美容に効果的だとされるシリカ水など、様々な種類の水が世に出回っています。

この分類とは別に、水の種類には硬度で分けられることがあり、硬水と軟水とがあります。これは水1Lあたりのカルシウムとマグネシウムの含有量を表しています。日本では主に硬度100mg未満が軟水で、それ以上が硬水とされています。

日本の水は基本的に軟水ですが、インドに行ったときにその水は驚くほど硬水でした。一緒に行ったある先生は、寝る前にうがい薬を使う習慣があり、日本の水では薬を垂らすと褐色の液になるものが、インドの水では白い沈殿が出たといっていました。

日本人がこの水を飲めば確実に下痢をするようなものです。この硬水と軟水はそれぞれにメリットがありますが、日本人は軟水に親しみがあるかもしれません。

私は(大部分の日本人かもしれません)水は「タダ」という認識で生きてきましたが、これだけ多くの飲料水が販売されているといことは、それぞれの好みにあった水を選別して飲む時代になったのかもしれません。

C型肝炎との攻防の30年

2019-06-17 10:29:07 | 健康・医療
C型肝炎という病気をよく耳にしますが、この原因ウイルスが発見されたのはわずか30年前の1989年となっています。

当時肝炎ウイルスはA型とB型が知られており、治療法もこの2種に重きが置かれていました。ところが輸血後肝炎や原因不明の非A非B型肝炎が増加してきて、これらの肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)が原因であることが突き止められました。

「肝臓の病気」というと酒の飲み過ぎが原因とされていましたが、実際には国内の肝硬変の半数以上、肝臓ガンの70%以上がHCV感染に由来することが明らかになってきました。

C型肝炎は自覚症状が乏しいため感染に気付きにくく、献血や保健所の検査結果が報告されるにつれ、日本は驚くほどのHCV汚染国であることが分かってきました。現在70歳以上の20人に1人以上が、1度は感染したことがあるという計算になるようです。

HCVは主に血液を介して感染します。感染経路としては、汚染された輸血や血液製剤、入れ墨、消毒が不十分な器具でのピアスの穴あけ、覚せい剤などの注射器の使いまわし、などが考えられますが、原因不明であることも少なくありません。

多くのウイルスは、感染しても免疫機能によって排除され自然治癒しますが、HCVは3割程度しか排除されず、7割は持続感染となり、この状態で20~30年経過すると肝硬変や肝臓ガンを発症します。

HCVが発見されて以来、長い間抗ウイルス作用のあるタンパク質「インターフェロン注射(IFN)」が治療の中心でした。

当初は効果がみられるのは20~30%で、抗ウイルス内服薬の併用や、2004年には血中に長くとどまるように改良された「ペグIFN」が開発され、約半数でHCV排除が可能となりました。

ただしIFNをベースとした治療は、発熱や倦怠感などさまざまな副作用があるため中断例も多く、高齢者や体力の弱い人には不向きでした。この1990~2013年では、ウイルスが排除できるのが53%、再発27%、無効ないし中断が20%となっていました。

それでもこの時期はIFNは大きな役割を果たしたといえるようです。2014年にIFNを必要としない、内服のみでウイルス増殖を抑制する、画期的な新薬が登場しC型肝炎の治療は新しい時代に入りました。

登場したのはHCV直接阻害剤(DAA)といい、HCVの増殖にかかわる遺伝子領域に直接作用してウイルスが増えるのを防ぎ、消滅させる薬です。この薬剤名は省略しますが、2014年から2015年にかけて続々と発売されました。

これらは当初1錠7万円と高価なことで話題にもなっていました。現在はこの価格も下がり、初めてDAAで治療を受ける人は、ほとんどが治るという非常に優れた薬剤となっています。

このようにC型肝炎は、治療すれば確実に治るという大きな進歩があり、現在に至っているようです。

科学は3つの手法に分類

2019-06-16 10:23:29 | その他
私は長いこと研究者としてやってきましたが、科学の世界には3つの手法があるという記事を見ました。

それが「実験科学」、「観察科学」、「理論科学」という分類になります。このうち実験科学が最も研究者が多い分野かもしれませんし、私もこれをやってきました。

半導体を開発したり、医薬やバイオの研究をしたりする人は大体実験科学と言えます。実験科学ではまず仮説を立てますが、私の場合はAとBを反応させるとCができるのではないか、さらにCはある病気に薬理活性があるのではないか、といった仮説になります。

その仮説を検証できそうな実験を考え、試してみて仮説が正しいかどうかを検証します。観察・推論・仮説・実験・検証・考察といった手続きを繰り返して、新たな理論や現象を発見しようというのが実験科学です。

次に観察科学は、人類が誕生する前に起きたことなど、実験したくてもできない研究対象の場合有効な方法となります。

たとえば崖の地層からサンゴの化石を見つけたとします。すると観察科学者は、この石ころから大胆な仮説をたてます。「この辺りは20万年前は、暖かい海の下だった」というようなものです。

これはあくまで仮説であり、おかしな所があるかもしれませんが、観察科学とはそいうもののようです。この検証は自分でするというよりは、他の人がみつけた化石に対する仮説と戦うことによって成り立ちます。

この論戦により矛盾がある場合は、両方をうまく説明できる新たな仮説を作り出すわけです。これをいくつも繰り返すことによって、たぶん真実に近い仮説が出来上がっていくのが観察科学と言えます。

堆積岩などが形成されるには、何億年もの時間をかけて、熱と圧力をかける必要があり、こんな実験をしたくてもとてもできません。そこで観察科学では、石ころひとつから物語(仮説)を作り出し、物語同士を戦わせ新たな物語を作り出し、生き残った物語を「理論」として採用しています。これはあくまで当面は正しいと仮置きしたものとなります。

もう一つの分類が理論科学で、これは宇宙論や素粒子論などの理論物理や数学がこれに当たります。これはあくまでも論理を論理でつなげて、新たな論理(理論)を作り上げていくものです。

この分野は、疑いようのない確かさを基礎にして、数学を使って論理を伸ばしていく作業と言えます。実験するには小さすぎたり、大きすぎたりするものを対象とし、何億光年も離れた天体を論じたり、原子より小さい素粒子のことを語れるのは、数学的に導くことでできた「推論」だからです。

この様に分類していますが、どの科学においても仮説・推論をいかに面白く出すかは同じような気がします。