左腕に続いて右腕を骨折したお袋さんに、先日会いに行った。
じぶんであれば、へこむであろうこと。ところが会えば、いつもの突き抜けるようなヴォルテージでの笑いと・無理のない素(す)の明るさ。
いまさらながら、この人に、何かとてつもない偉大さと癒しを、逆にもらってしまった。
「たかが、チンケなことで、ああだのこうだの言ってんじゃないよ」
それを常に態度で示し、貫く様。
話していると骨折どころか、6月に行くヴァン・ヘイレンのライヴのこと、それに、右腕を骨折する前に、銀座の松屋で開かれたというネコの「ダヤン」の展示会に行った話を楽しそうに話され、話は一向に骨折の方向には行かない。
かつて、NHKの朝のドラマ「ゲゲゲの女房」にはまって、毎日3回見ては、水木しげるさんの展示会に行き・グッズを買いまくっていたが、今のお袋さんのマイブームは「ダヤン」らしい。
前に、電話で話した際に、向こうはダヤンと言っているのだが、こちらは「ええっ・・・ダイアン?」と何度も聞き返すが、話が一致しなかった。
松屋の展示会で買ってきたというダヤンのぬいぐるみとバッグを見て、やっと、「ああ、これか・・・」と分かる。
お袋さん「この表情がなんとも言えないよねえ。」
かたちんば「この人の絵本は知っているよ。素敵な絵本を描いている有名な人だよ。」
じぶんは、話をするうち、ネコのまみちゃんが亡くなり・ついにコチャコまでもが亡くなり・・・数十年経って、ついに家からネコが消えたことが、この人をダヤンに向かわせている、と思った。
しかし、一方では、毎日、ノラクロちゃん・鼻ピンクちゃんは現れて、エサを上げているのは続いている。
親父・兄・そしてじぶんと、DNAは繋がり、全員「人嫌い」の中、お袋さんもそういった部分は強烈にあるが、どこに行っても・とてつも無いインパクトと社交性で持って・いきなり知らないヒトたちとの関係性を作り上げる。
天性の才能とも言える。ただ嫌いなヤツは徹底的に嫌う。
もし、彼女が営業だったら、スーパー営業マンだろうか?。
しかし、金銭感覚や駆け引きは全く抜きで生きているので、売上=経済とは合わないので、スーパー営業マンにはなれないだろう。
しかし、それで良い。
ヒトは、カネだけのために生きているわけじゃないから。
そんなことを、つらつらと想いながら、再度、2013年今のじぶんを振り返ると、それはそれなりに、かつてのじぶんからは少しポイントがズレ始めているようにも思う。
絵は描かなくなってしまった分、写真に埋没し、動植物・街への没入は社会人になって以降突き進んではきたものの、どうも30代のじぶんとは異なる。
ベースは変わらないのだろうし、音楽・ラジオ・本などへの傾倒は今も昔も変わりないのだが。
3・11の影響は少なからずあるとは思うが、それだけでもない。
先日、仕事上関わりの強い先輩社長Sさんにお付き合いして、久しぶりに外でのお酒のお供をした。
Sさんは、疲労のせいでビールを2杯呑んだ程度で珍しく酔いが回る。
昨年、2人で緊急事情あり、札幌に一緒に出張した際の、彼の内包された本音が吐露された。
前泊で札幌に入ったが、夜「せっかくだから」と街を歩いた。
じぶんは興奮して、夜の街にシャッターを切り続け、時計台を見て、その後、テレビ塔に上り、ガンガンに写真を撮りまくり、時計台とテレビ塔のゆるキャラのコラボレーションがあまりに素晴らしいので、グッズを買いまくった。
【2年前・2011年の間違えでした。訂正。】
Sさん「こいつは、相変わらず変な奴だなあ、とつくづく思った。
でも、一緒に『付き合いで』買ったグッズを持って帰ったら、コドモがえらい大喜びしてねえ。。。へー、そうなんだ、と思った。」
かたちんば「いつまでも、コドモということでしょうかねえ(笑)。」
Sさん「いや、そうじゃなくて・・・・・(省略)」
これ以上言うとウソくさいので、話しの続きは述べない。
YMOに「CUE」という記念碑的曲があるが、そんなものもよぎる。
いつまでもだらだら書いていてもいけないので、結論めいたことを言えば。。。
どうやら、じぶんは相変わらず「人嫌い」だが、今の「日本世間」は『人間関係』にしか視野が無く、その背景に20年以上というひたすら落ちていく異常世界の中、多くのヒトがその『人間関係』に絡め取られて・ココロを病み・自殺していく。
ナイフという見えやすい凶器では無い形で、ヒトがヒトにやいばを剥き、殺していく世界。
その今の「ほとんど、ビョーキ」を加速させた根源は資本主義と某広告代理店DTであるが、3・11という有事も含み、洗脳から覚めつつある段階に差し掛かっている。構造は、既に白日の下にさらされ・天日干しされている。
今まで「在った」こと全てへの疑問符と否定と、その外側で生きようという無意識下の芽生え。
ニセモノのエコとは無縁で居たい中、お袋さんの「ダヤン」にも、じぶんのそれまで以上の、動植物や空や雲などへの接近も、何か言い得ない「人間と人間関係だけがすべてではない」という解放区を思わせる。
有線式の犬から、無線式のネコへ、と、今まで以上に、社会に属しながらも「反○○」では無い形で、その首輪を外せる自由度が高まっている。
ユングの影響ではないが、何かマグマのようなものが、無意識下でうごめいているように思う。
■David Sylvian 「Blemish」(live)■
【2004年4月24日 昭和女子大・人見記念講堂の最前列で見た「ブレミッシュ・ツアー」より】
【池澤夏樹さんの1988年のデビュー作「スティル・ライフ」冒頭。】