二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の実験!様々。

2017-09-20 16:03:15 | ■工房便り 総合 
皆さんご存知だろうか。

紫檀黒檀の密輸は、ジャングルの中から、人が肩に担いで搬送するのです。

何も密輸だけでなく、年々ジャングルの奥深くまで分け入って、人力で運ばれてくるようになってしまったのです。

今から、100年くらい前には、紫檀も黒檀も、港のすぐそばか、

川のすぐそばでとることができていたのです。

それがあまりにも取りすぎたため、どんどん、奥地に行かざるを得なくなりました。

日本でだって、良い木ですね、立派な木ですね、といってその木を山の上から取り出すためには、

まずは道を造って、その間に生えている木を伐採しなければならないのです。

以前は日本の商社も、東南アジアで、島一つ買いきって、

湊に近いほうから丸刈りしていったのです、

ひどいことしますね、

その間高い材料は、どんどん送り出し、あまり価値のない材料(市場が求めていない材料)は

その場に腐らせたのです。

数千年かかって育ってきた木々が、4,5年くらいで駄目になり。

今度のの島が木々に覆われるのは更に数万年あるいはもしかしたら、その島には木は生えずに終わってしまうかもしれないのです。

良い材料というのが、どんどん無駄にされているのです。

ヴァイオリンの弓を造るフェルナンブーコにしても、以前は粉砕されて、染料にされたり、

中には鉄道の枕木にされていたこともあるくらいです。

確かにその時には、それなりの役目を果たしたのでしょうが、、

日本でも今のコンクリートの枕木の以前は、栗の木が使われていました。

何百万本でしょうね??

あれらはその後どこに行ったのでしょうか?

それほどでなくとも、紫檀黒檀、特に紫檀は、中国では重宝がられて、

宮廷で使う木々は、全て紫檀であったとも言われるくらいです。

でもそれらは、残っていませんね。

中国では赤い木紫色の木とても高価なものとして喜んで使いますからね。

現在に至って、

それらはもう、伐採禁止になるか、

あるいは、アフリカでお奥地に残るだけになってきています。

そこで、人が担げるくらい、目方でいうと、50キロから、100キログラム

せいぜい二人で担いでジャングルを抜けてくるくらいの大きさに切りだされてきます。

ですからせいぜい、直径15センチの1メートル20センチくらいです。

長くて2メートルでしょう。

それでも紫檀好きの、中国では、それでも足りずに、日本の木場や各地の名木屋さんから買いあさっています。

確かに紫檀の音は良いです。

しかし、もうすでに東京の木場には、小葉紫檀ないでしょうね。

中国人の楽器商たちが買いあさっていますから、

おかげで私も最高級品だけとはいえ、買わざるを得なかったのですが、そのことは置いておいて、

今の私の疑問は、紫檀黒檀以外に、二胡に適した材料というのは無いのだろうかという事です。

以前ミュージシャンの里地帰君から依頼されて、800年木といわれる、杉の木で二胡を造ったことがあります。
(その後勢いづいて、へグムまで作りました)
皆さんの中にも里地帰君のCDを聞いてその杉の木の二胡の音はご存知の方がいるかもしれません。

まったく違和感がなく、とても良い音なのです。

確かに見た目は、茶色で中国人の害好きな赤ではありませんし、重量感というのもありませんが、

美しい木目と自然のあめ色に変化していく「和」の美学を備えた楽器になっています。

そこで再度里地帰君とはなしあって、

日本の材料で、二胡に作れるものはないのかと、いろいろ作ってみることにしました。

その第一弾が「欅」です。

鳴らしてみました。

なんと、紫檀系の二胡の音がするのです。

それも、むしろとても落ち着いた音色です。

二胡が日本でもう一つなじめない要素があるのは、何となく高めの、

確かに京劇などの伴奏に似合う響きだという事もあるでしょうね。

もう少し落ち着いた渋い音は、、、とお望みの方も多く、

そこで光舜堂のシャム柿や黒檀がとても人気が出てきたという事もある音もうのです。

音楽はもともと歌から始まっているとも言われます。

当然言葉を伴います。その言葉の感性に似合う歌が各民族で歌われてきたのだと思うのです。

日本人には、日本の言葉に似合う音楽があるのでしょう。

そして楽器も、それに似合う楽器があってもよいと思うのです。

三味線なども、最初日本に入ってきたときより現在ではずいぶん長い棹を持つようになりました。

長い棹は低い音を実現します。

当初よりはたぶん低いキー音で演奏されているのではないでしょうか。


欅の二胡を再度(以前にも2台は作ったことがあるのです)作ったところ、

なんと紫檀系の音がするのです。

ここで、私は二胡の音色を造る要素というのが、今までは、単に木の種類の違いでしかないと考えていたのですが、

どうやら、違うらしい、木の導管とその密度の違いによって、音色が変わると、

そう思えるようになってきたのです。

今回の欅は千葉の欅です、以前作ったのは地のもの、多摩地域の欅でした。

導管の数が決定的に違うのです。

紫檀と比べてみたところ、紫檀に非常に近い感じであると思うのです。

では黒檀は、これはこれから、いろいろ試します。

あの木のもろさと、硬さ、そして密度。

もしかしたらと思う材料もあります。

それは、本桜です。

桜というと皆さんソメイヨシノを思い浮かべるでしょうが、

九州のある地域の桜を、本桜と呼びならわせるのです。

それらの、木々は彫刻に向くぐらい密度があります。

通常家具などに使われる桜と皆さんが思っている木は、

木材業界では、樺とよばれます。

真樺 水目桜、水目樺、単に、樺と呼ばれることが多いです。

本桜は、昔は、浮世絵の版木に使われたり、しています。

今はほとんどとれなくなっている木ですが、一番大量に使われたのは、国会議事堂の中の家具類でしょうか??(といわれています)

どうやら、二胡になる材料は、まだ他にもあるのではないでしょうか。

それらをひとつづつ作っていこうと今考えています。

何しろ紫檀アレルギーで今しばらくは、小葉紫檀削りは、しばらく我慢ですしね。







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