二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

木の特性、音の特性

2011-01-25 10:01:20 | ■工房便り 総合 
前の項で書きました、なかなか解りづらい表の解説です。


導管が多いというのは、木の内部に空洞が沢山あり良く響くということです。

音が大きいとも言えます。

その最たるものが、胡桃とゼブラでしょう。

もちろん花梨もその中に入ります。

反対に導管の少ない、リグナムバイダや真黒などは、普通の二胡と同じ作りにしたとしたら、

大きな音で鳴るというわけにはいきません。

その分本来ならば、薄く作って周りの空気も一緒に鳴らすか、胴の内部も鳴らすようにしないといけないのかもしれません。

比較的大きな音の出る構造を持つ、北京系に合うかもしれません。

このあたりは今後の研究課題になりそうです。

次に硬い繊維質で出来上がった木は、かなり敏感に高い音も鳴ります。

硬いために振動の幅も小さくなりますから、当然クリアーな音が出ます。

ホンジュラスローズウッド、タガヤサンなどは、その代表でしょう。

油分が多いというのは、木自体のキー音が低くなるようです。

ですからずっしりとした低音が良く響きます。

リグナムバイダや、コウキなどはその良い例かもしれません。

導管の多さ、木の硬さ、油分の多さ、それらがバランスよく整っているのは、

良い楽器の条件なのではないでしょうか。

ブラジリアンローズ、シャム柿、チンチャン(コウボク)マダガスカルローズ(本紫檀)

そして、欅、桑。

なんとここに、日本独自の木、欅、が入っています。

考えてみれば、欅は和太鼓の材料です。

二胡は太鼓の構造と言う考えで、作ってきた西野二胡としては、欅を作らないわけにはいかなそうですね。

棹の長さと太さにして、耳に当てて、木を叩いてみると、

木の一番低い音が聞こえてきます。

そのキー音が、欅はシャム柿に非常に近いことが解りました。

ただ、シャム柿の場合は、木の底の方から、渦を巻くような、低振動が有るのですが、

欅は、ドーーーーンと、ホントに素直な低振動を感じます。

薩摩隼人と言うような感じかもしれません。

快男児、とも言えるかもしれません。

後は皮との相性で、どんな音になるやら、楽しみです。

先日、木場で御蔵島の、桑を見つけました。

桑も、琵琶などの楽器に使われている木ですね。

特に伊豆7島の桑は良いとされています。

木目の美しさは、江戸指物で既に定評のあるところですし。

きめの細かさは、コウキなどにも似ています。

この二つとも、漆との相性が良く、仕上げは漆かな、

音に関わる影響は少し心配されますが、

まさに、日本製の二胡と言うことができる素材かもしれません。

これらが出来上がれば、(もし魅力的な音が出るとすれば)

中国の民族楽器と言う位置から、少し広がっていけるのかもしれません。

まだまだ、続くようです。

樹種の探検。

西野和宏

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2 Comments

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油分 (Jimmy)
2011-01-25 22:07:54
油分でキーが下がるっていうのはかなり衝撃的なお話です。それが油分の重量が関係してるのならありえるのかもしれませんが。。。

普通素直に考えるならば、ダンピングに効きそうなんですけどね。極端にいえば(とにかく極端にですが)、余韻が少なくて響かないって感じでしょうか。鈍い音なのでキーが下がるっていう風に聞こえるのかなぁ。。。
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キー音 (nishino)
2011-01-26 10:21:39
これはもっと研究しなければわからないのでしょうね、

花梨等でも、ゆえんのように油分含んだ物は、

重量感のある音が聞こえます、

繊維質の硬さと、油分の量の関係かもしれません或いは、油分で細胞が柔らかいので響きが鈍くなるのかもしれません。

現実に同じ木を熱でカラカラに乾かすと、

キー音が上がります。
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