二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

送りでの二胡の修理について。

2016-10-04 12:44:58 | ■工房便り 総合 

『二胡の修理』と言うのは、二胡を病院に入れるという事です。

『二胡の調整』と言うのは、まあ、言ってみれば入院するほどではない風邪くらいと考えて良いと思います。

二胡を健全な状態に戻すということです。

皆さんが、やっている調整ーーー、巷のブログなどを見ながら千斤などの巻き直しをやっているのは、

ドラッグストアーで市販の薬を買って風邪を治しているような状態かもしれません。

それでも治る場合はありますが、もし問題が、単に千斤などの場合で無かったとしたら、

合わない薬を買って飲んでいるのと変わりはありませんね。

風邪薬飲んでいてどうしても熱がひかず、お医者さんに行ったら肺炎だったなどという事もあります。

又インフルエンザの場合は、発熱してからある一定の時間が経つと、お医者さんに行っても、

タミフルなど処方してくれない時もあります。

本当は、日本各地にせめて風邪くらいは治せるお医者さんがいれば良いのですが、

二胡の場合はそうは行きません。

殆どの楽器屋さんは、自社の発売した物以外は、修理も調整も引き受けてはくれません。

と言うより、出来ないでしょうね、二胡そのものが色々なメーカによって相当違いますから。

ですから迂闊に引き受けると、トラブルの原因になりますし。

今までにもいろいろトラブルが有った事を聞いています。

幸いにも光舜堂では、今のところ送りでの修理した楽器でのお客様とのトラブルいうのはありません。

と私は思っています。もしかしたら不満だという方もおられるかもしれません、

そのときには必ず言って下さい、きちんと対応させていただきます。

二胡を修理する時、私は必ず全部一回解体します。

頭の折れだけでもです。

直している最中、棹自体をクルクルと回さないと直す個所の全周を作業できないからです。

解体した以上最終的に組み立てて、千斤も巻き直し、音の鳴りを皮の成長に合わせて、

駒などを替えたり、台の不具合なども直し、

木軸のがたつきなども直します。

これは普通に光舜堂で行っている調整と同じ事をやります。

ですので、楽器の修理代の他、通常の調整費用と言うのがかかります。

あるいはご自身で、調整できるという方はお申し出いただければ、ご要望の修理箇所だけ直して解体した状態で、
送り返します。(これはあまりやりたくないです)

時々、皮が緩んできている物など、お客様と相談の上「松富士」駒に替えたりもします。

送りでの修理の場合は、よほど皮の状態が悪くないと、駒は送られてきた時についている駒を使用します。

それにしても千斤の巻き方などでは、音色というか音の出と言うのは相当変わります。

お持ちいただいた修理の時などは、お客様にご来店の際に、音の出が変わる事など説明できますが。

送ってもらっての場合、調整だけを受けるという事はやりません。

調整をやるとしたら、完全に西野にお任せいただけるという事が、お互いに納得出来た時だけでしょう。

送りでの修理に伴った二胡の調整と言うのは、今までに何もトラブルも無く来たと思うのですが、
(もしかしたら言っても仕方ないと思っておられる方もいるかなとはおもいますが、その時には言って下さい)

楽器は修理すれば必ず音の出や音色も多少は変わります。

当然ですね、今まで不具合のある音で弾いてその音に慣れていたのですから。

しかし、ご来店での調整で今までに、3名様ほどですが、問題の出たこともあります。

1名様は私が調整してみて、この音は気に入らない元の状態に戻してという事で、

元の状態に戻しました。

もうひと方は、後で人づてで聴いたことですが、私の調整が気に食わなかったと、

もっと籠った中国風の音にしてほしかったとの事でした。

もう一名様は、後でご自身で直したそうです。

この方は、大変特殊な弾き方をする方で、弓を胴と平行に弾かないのです。

弓を殆ど胴に対して45度くらいに構え、どちらかというと、そーと音を出す感じに弾く方で、

私の楽器が全体で鳴るという調整はお気に召さなかったようです。

またもう一人、デンペン保護のテープ、それも、テーピング用の物を、皮の面にまで貼ってあり

二胡にテーピングをする事に反対している私としては、せめて皮にテーピングは止めてはどうかという意見は、

これは中国人の先生にやってもらったものだから取れないとのこと、

胴の割れが有ったのですが、胴の修理をすると音の出は変わるし、調整も変わるという事をお伝えすると、

音の変わるのは嫌だとの事で、、この場合はコチラからお断りいたしました。

お会いしてでの上でも、2000名様の内4名様とは言え、意見の食い違いが有ります。

一見優しそうな爺ですが、なかなかにその場ではご自身の意見言えない方もいらっしゃるとは思いますが、

出来たらご希望は言って下さい。

ご来店の際には、千斤の巻き方や駒の付け方などで、御希望には添えるとは思います。

光舜堂の調整と言うのは、楽器の力を最大限引き出す、調整です。

その上で、音色を甘くする、黒彪駒、

鮮やかに、音を響かせる、彪駒

昔からの中国の二胡の音色を表す、松鷹駒、

そして、どうしようもなく皮が緩んでしまった楽器を再生する、松富士駒、

音色も甘く音も強く、新しく購入した楽器の音色を整える、縞虎駒

等、お客様と相談の上で試しながら調整するのです。

そのご相談ができにくい送ってでの調整というのは、これはやりたくとも出来ないですね。

ですので、送りでの調整だけと言うのはお断りしております。

あるいはまったく任せるという方は、お引き受けすることもあります(会員さんに限ります

そのことご了承下さい。

光舜堂店主  西野和宏







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