二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

民族楽器から、世界の楽器へ。

2016-06-20 18:29:33 | ■工房便り 総合 
生徒「先生、私の楽器、なんだか高音が出ないのですが??。どこか具合悪いのでしょうか」

先生「いえいえ私のもそんなものですよ、ほら!」

生徒「ほんとですね、ヴァイオリンみたいに綺麗に音が出ないのでしょうか」

先生「二胡はこういうものですから」

こんな会話が、ずいぶん、いろいろな教室で話されていたかもしれませんし、

実際話されているでしょうね。

もっと良い楽器を買えば、もう少しは音が出ますよ、という、話の中でつい、次の楽器を購入してしまったなどということもあるのではないでしょうか。

今や二胡は普通に、様々なテレビや、ラジオなどの番組の中で聞こえてきます。

殆ど、実際の音とは違って綺麗に高音まで出ていますし雑音などもありませんね。

これは音響技術の進歩のお蔭です。

二胡の出ない高音だけをより強く出すことも可能ですし、

雑音なども消してしまうことも可能です。

ですからCDなど聴いて二胡の音色は良いなと、二胡を習い始めた人が、実際の二胡を弾いてみて、がっかりしてやめていく事が多いのは皆さんも、ご存知だと思います。

しかし、それにしても良く鳴った時の二胡の音色は人をひきつけます。

また、楽器の演奏姿勢としても誰でもが弾ける可能性を持っています。

だからでしょう、今や、伝統楽器と言われる三味線の愛好家より多くの人が、二胡を弾いています。

伝統の楽器と言われる三味線ももうすでに400年の実績の中で、様々に弾き易さ、

あるいは良い音色を追求されてきて、楽器自体は完成してきています。

二胡は、二胡という名前になって、東洋のヴァイオリンを目指して形作られてからまだ60年ぐらいでしかありません。

たまたま、20年くらい前に、日本に着た二胡の演奏家が、広めてきたん当時よりも、

もうすでに中国本土でも様々に改良され、

また演奏する曲目もかなり難しいクラシックなどに挑戦するような時代になってきています。

当然、音楽家あるいは演奏家は、より完成度の高い楽器を求めます。

ご自身の表現したいように楽器が鳴ってほしいからです。

中国の楽器屋さんの中には、かなり実験的な楽器を作ったり

あるいは演奏家もそのような楽器を望んでメーカーと組んで新しい楽器造りなどをしています。

しかしまだまだ簡単には、完成度の高い楽器と言うのは出来ていきません。

幾つかの理由はあるのです。

楽器メーカーとしては、新しい楽器を売るよりは今までの伝統(まだ5,60年ですが)を踏まえた楽器造りの方が、安全な商売をできるからでもあります。

一つ、二胡の製作での問題は、紫檀黒檀という、世界の木材の中でも大変貴重な種類の木を使い、

とても無駄使い出来ないという事、

そして木自体を乾燥させるのに数十年という時間をかけなければ、

楽器を作ったは良いがすぐに割れてしまったり、狂ってしまうことが多いからでもあります。

10年くらい前までは、かなり古い、紫檀の家具や家の部品なども残っていましたが、

年間20万台30万台と言われる生産力に、ほとんど良い木は使われてしまっているのが現状だと思います。

何故ならば、光舜堂に楽器を調整に来られる方の楽器の木を見せていただき、お話をして購入金額をお聞きすると、

本当に良いインドの小葉紫檀などは、10年くらい前には、30万円以内で購入出来た事が分かります。

しかし、現在では、各楽器屋さん、殆ど50万円を切る物は少なく、中には100万円を超えるものもあります。

ましてや昨日木場から電話が有り、「コウキ紫檀(小葉紫檀)が出たんだけれど、中国の人がほしいと言ってきていて、どうする」

「あのね!、私が買わないわけにいかないでしょ。!!!(# ゚Д゚)」

「そんなにすごい量ではないんだけれど、」

「いいです、明日いきます。」

こんな状況です。

中には本当に古い物がまだ、古く家具屋さんや、建具屋さんをやっていたところの材木置き場の中に残っているかもしれませんし、ギターなどを作っている人がひそかに持っているということもあるかもしれません。

しかしそれにしても、年間数十万台という量に応じられるわけでもありません。

中国ではもう本当の小葉紫檀は300万円を超えるものがあるとも言われます。

木は年々なくなります。

その多くは薪にされたり、曹薪なのです。紫檀黒檀の類は油分を多く含んでいますから、乾燥させずにそのままも痩せたりします。

彼の銘木、黄花梨などもそうやって消費されてしまったようです。

話がそれました、

二胡の愛好家あるいは演奏家は、より良い楽器完成度の高い物を求めます。

決して、二胡とはこんなものだからとあきらめないからこそ、

光舜堂には、舞営業日ごと、全国各地からお客様が絶えないのでしょう。

世界の楽器へ  続きます。











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