今までにも、何度も書いてきていますが、最近になって光舜松脂を発売してから様々なお問い合わせが来ていますので、再度書きます。
既存の一般的な松脂をご使用になっている方にもお伝えしたいことです。
既存の松脂は塗りすぎると、弓毛の上で固まってきて、雑音の原因になります。特に温度の高い時には一度半溶けになって固まり、部分的に板状になってしまいそれが割れて松脂としては比較的大きな塊もでき、スムーズな弦の振動を妨げます。
松脂は皆さんが考えているよりもっと取れにくいものです。
一度眼鏡拭きやあるいは中性洗剤で弓毛を洗ってみると、そのまま松脂を付けなくとも弦は振動し音が鳴ります。
その後松脂を付けなくとも、かえってきれいな音が鳴ります。
意外としっかり弓毛に松脂は付いているのです。
例えば、既存の松脂でも、一度弓毛に塗って、そのままいひていても、数カ月は音が出ます。一回の塗りでまったく音が出なくなるのというのは、相当時間をかけて、年単位でかかります。
勿論、松脂としての引っ掛かりの良さや鳴りとしての効果は落ちますが。
ですので、みなさんが耳で聞いて、ご自分の思うような松脂を塗った当初の音から違ってきたら塗ればよいのだと考えます。
特に引っかかり具合は、例えば速弾きなどした時の引っかかり具合を基準としたらいかがですか・
弓毛が新しければ、松脂の食いつきも良く、弓毛が傷んでくると松脂の食いつきが悪くなり始終塗らないといけないようになります。
また、弓毛の質によってもその耐久度は変わります。
かなり脱色されて年間20本も30本も切れるくらいの弓毛は、無脱色の弓毛に比べると、松脂の付き方が数倍違ってきます。当然松脂を塗る頻度も変わります。
勿論弾き方によってもその頻度は変わります。
速い曲を毎日2時間も3時間も弾く人と、ゆっくりな曲を1時間くらい弾く方では、松脂の残り具合も変わります。
光舜松脂について、何人かの先生かたと話していまして、本当に少し付けるだけでよいのですね。としみじみおっしゃる方が多いです。ついつい今までの松脂の様にたっぷりと塗ってしまって、松脂がすごく減ってしまうと、
そういう時私は、塗っている頻度など聞きまして、提案します。
「1,2往復だけ弓毛に塗って、しばらく塗らずに弾いてみてください」
すると、1週間くらいの方もいらしゃれば2週間ぐらいの方もいらっしゃいますが、時間数を聞くと、20時間から長い方で30時間ぐらいすると、もう一度松脂を塗ったほうが良いかもしれないとのお答えをいただきます。
それもせいぜい2往復くらいで十分だとのことです。その上で10年近くは使えるであろう量を設定しています。(コントラバスなどは毛の量がヴァイオリンの倍近くありますから、約半分くらいかもしれません)
皆さん、もし光舜松脂をおもちでしたら、一度試してみてください。(既存の松脂でも同じことは言えます)
一往復塗って弾いてみて、2往復目も塗って弾いてみる。
そしてせめて、一週間は塗らない。
松脂を塗らないからと言って弓毛が傷むというわけではありません。そもそも松脂が塗ってなければ、弓は音を発しません。
馬毛はいずれにせよ、使えば傷みます。ヴァイオリンのプロは半年くらいで張り替える方もいます。長くても1年でしょう。でも半年で、1400時間くらいも弾いている人は多いのです。弓毛が傷むと言ってもそのくらいには持つのです。
どうぞ、みなさんもご自身の耳と手の感触を感じてそれによって松脂を付ける量と頻度を決めてください。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ