二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

日本の二胡の現状について、その11。

2012-07-01 10:01:00 | ■工房便り 総合 
私が、楽器屋さん達に一つお願いなのは、楽器を購入する人達に、正確なことを伝えるようにして欲しいということです。

ある楽器屋さんに務めている人と話していて
「西野さんは何でこんな皮の薄いのを使うの」と言われました。

「どこがこの皮が薄いの」と私。

「嫌これは批判ではないですよ、でも鱗がこんなに小さいでしょ」

「後ろから覗いてみて」

と彼は花窓から光を透かしてみました。

「真っ暗ですね」

「そうですよ、これは多分この楽器屋さんに置いてあるなかでも一番厚いのです」

皆さん、二胡に使う蛇皮は、1,5ミリ前後の厚みが一番良さそうなのです。

薄ければだめということはありません。

厚すぎても鳴りにくいというのはありますが、鱗が大きいからと言って必ずしも皮が厚いということは無いのです。

鱗が大きいというのは、歳を取った蛇であるか、若くても、おなかの周りの皮であるか、或いは、大鱗ニシキヘビという種類か、です。

このようにちゃんと、伝えて欲しいのです。

二胡の鳴りは、適度な厚みと、適度な粘りと、弾力がひつようです。

それには、脱皮からの適度な時期(なんとなくわかって来た程度です)や、皮の厚み、繊維質の強さ(この点で、天然ものの方が繊維質が強いようです)などが重要です。

ではそれが誰が判るかというと、、、完成して弾いてみないと分からないのです。

ですから私みたいなまだ駆け出しは、駄目な時には張り替えていますし、その良かった蛇皮ののこりを(と言っても4,5台だけしかとれませんが)張り替えの注文に取っておきます。

そうでないとこの皮なら良い鳴りするというのが判りません。

張り替えましたダメだったですねとは言えない仕事ですから。

量産物はそうはいきません、良かれ悪しかれ、一度張ればそのまま出します。

良い物もそうでない物も混ざって来ます。

ましてや、中国の量産物の張り方は、2台をワンセットで張りますから、どちらかが張り方に斑になってしまう場合もあり得るのです。

工房物の一品モノは一台一台張っているようです。

だからこそ、良い鳴りを確保できるというのもあると思います。

これらのことを、ちゃんとお客様に伝えて欲しいのです。

これは値段にちゃんと見合うものだということを確かめて、売って欲しいのです。

この楽器がこんなにするのか、というようなのが置いてある楽器屋さんも有ります。

隣の安いのとどこが違うのというようなのもあるのです。

確かに、高級な木を使っていますから、生産者としては高い値段を付けたいでしょうが、二胡は皮の張り具合でも楽器としての性能が変わりますから、これは確かめて値段を付けて欲しいですね。(試し弾きしていないのかも)

流石に最近この2年ぐらい、誰々の作というのが沢山出てきています。

私の弾いた限りでは、これらは皆かなり良い物が多くなりました。

少しは、日本の中にも二胡の知識が定着したというのを、楽器屋さんが認識し始めたのかもしれません。

その上、最近の傾向を見ていると、教室で売っている物より、同じレベルのものが、楽器屋さんではかなり安いのです。

ここには書けませんが、ある通販の楽器屋さん等は、相当良い物が、教室での販売のの半額くらいで売っているというようなこともあります。

ですから、楽器を購入しようと思う時には、単に先生に勧められたということではなく、御自分の足で歩きまわって、自分の感性に響いて来る物を探すのが望ましいと思うのです。

そろそろ、「はいこれがあなたの二胡ですよ」と一台差し出されるシステム考え直しても良い時期ではないでしょうか。

それから、二胡を購入する時には、どんなものであれブランドで選ばないということでしょう。

誰々の作、と言われても誰が証明できますか?

まず弾いてみて、というのが最善でしょう。

量産品であれ、工房物であれ、相性と鳴りというのが選択の基準でしょう。

一生に一度の出会いかもしれませんから。

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