この画像の上の物は、二胡の弓です。
下の物は、ヴァイオリンの弓です。
長さにして10センチくらい二胡の弓の方が長いですね。
ところがこのようにすると、
使う毛の長さはほとんど同じです。
上の二胡の弓が短いというわけではありません。
81,5センチあります。
これは昔の弓です多分80年以上前のものです。
持ち手の部分が大きく曲がっていて、手のひらで握りこむように使っていましたので、
毛の有効な長さというのは、現在の二胡弓とそれほど違いはありません。
手を伸ばして先端まで引いた時の長さで設定されているのでしょう。
身長によっては多少手の長さは人によって違いますが、大人なら、このくらいだったのでしょう。
毛の有効な長さは二胡でもヴァイオリンでも64センチです。
最近では、83センチ84センチなどという長い弓も出てきています。
私の知っているので一番長い二胡の弓は、92センチありました。
(ケースに入らず苦労されていました)
私は、180センチと比較的背の高い方ですが、この81,5センチの弓を先端まで弾くと、かなり手を伸ばさなければいけません。
届きはするのですが、手に無理な力をかけないと楽器は鳴りません。
もちろん、弓の論先端の軽くこすれるような音をあえて使う演奏法もあります。
しかしそのことは、演奏技術の一部であり、すべての人が使うわけでもないようです。
先生方は弓をいっぱいに使いなさいとおっしゃいます。
でもその時に皆さんが使うのは、先端から3せんちあるいは5センチくらいまでです。
先端まで不通に弾いて手に無理な力をかけないとすると、届かないからです。
先端まで届かないし、使いはしない、しかし85センチの弓が弾いてみると気持ちよく音が出る
という意見もかなりあります。
それは、弓の長さが長くなることで、先端の重さが増えるからです。
そうでなくとも先端の方に重さの無い二胡の弓は、先端の重さが軽いです。
ですから先端まで使おうとしたときに、どうしても手元で力を入れないといけません。
無理やり親指に力を入れてしまう方も多いです。
その点長さが長くなれば、先端は重くなります。
ヴァイオリンの弓は先端にこのように木の塊が付いています。
これは、単に重さのためだけではなく、この中に毛の先端がくさびで止められるようになっている場所でもあります。
この先端の重さは、5グラムから6グラムくらいあります。
これは、手元とのバランスを考えたうえで、そして木の張力また毛の張力を考慮した結果の重さではないでしょうか。
先端が重くなりすぎると、扱いづらくなり、手に余分な力を入れないといけなくなるからではないでしょうか。
二胡の場合、この先端の重さというのが考慮されていません。
それは、竹の張力と反発力が木とは違うからという意見もあります。
また自然のままの竹を使っている二胡の弓は、決定的な手元と先端の重さのバランスや、
全体の重さ、あるいは竹と毛の張力のバランスなど考慮して作ることは難しいです。
それには、一本一本を手作りするしか方法はなく、今の量産体制ではできないことです。
ヴァイオリンの弓も量産ものは同じことが言えます。
同じメーカーでもその製品のレベルの差はかなりあります。
ですからヴァイオリンの弓などは、作家による手作業の製品が評価されるのでしょう。
二胡弓でも稀に、弓の作家によっては、低音二胡用の弓には先端に胴板をかぶせて、先端の重さを確保しているものもあります。
然し一本づつの手造りではないようです
自然のままの竹を使っている限り、二胡の弓が楽器を鳴らすということをある一定のレベルに維持するのはとても難しいことかもしれません。
このように二胡の弓は、まだ進化の途中です