今困ったことが一つあります。
それは10倍くらいの倍率になった小葉紫檀と花梨の二胡への購入希望者の方々の中に、「孟さん鳴尾さんそして深澤さんの弾いた二胡の音を聞いて申し込みます」
これ違いますから。
あれらは、鳴尾さんでさえもう2年、孟さんは7年、そして深澤さんも6年弾いているのです。
それぞれ楽器の木の種類は違いますが、彼女らの弾く量が決定的に違うのです。
孟さんに「最近の楽器よく響くように作れるようになったから、皮張り替えますか・」と聞いたところ、「絶対嫌!!、これだけ弾きこんだからこの胡は今良い音になって来たの、もったいなくて取りかえられない」
今出来上がった、2台の小葉紫檀と花梨のヤマト二胡毎日弾きこんでいます。
このヤマト二胡、もし全く弾かないで皆さんのお手元に届いて弾いたら、その強さにきっとびっくりして二度と弾かれないかもしれません。
二種類の木を組み合わせて楽器に仕立てるととても強い音が鳴ります。
寧ろ、雑音と言っても良いと思います。
最初の内は!
一番初めにこのタイプ、二種類の木を組み合わせたのが、今から14年ほど前に作った、バリサンダーとブラジリアンローズの組み合わせの楽器です。
大沼君が弾いています。
この楽器を大沼君が、弾いた時にその音の強さで興味を引かれたようでした。
彼は工房の下で、延々3時間ひたすら開放弦を弾いていました。
その内、??音が変わってきたのです。
音もまろやかになり、強さより響く感じも強くなってきました。
ある意味、たった3時間でしかないのかもしれませんが、音色が現れてきたのです。それでも、彼の納得する音になったのが2年後、「この楽器以外は弾けないですよ」と遂に14年その楽器だけをひいてきてくれています。
その点ででは、山口真央さんの弾いている「カノネ」シャム柿と小葉紫檀の組み合わせ、これはすさまじかったですね。「体調の悪い時には弾ききれない」くらい強いそうです。
遠鳴りという点では、現在鳴尾牧子さんの弾いているハカランダの楽器に近いものがあります。
ただ、このハカランダのCDMは、自分で弾いていても、それほど爆音という感じはないのですが、人が弾いているのを聞くととんでもなく良く響きます。
とにかくこのタイプは、多少弾きこまなければとてもお客様に渡せないのです。
ヴァイオリンなども、作って最初に弾いた時にはかなりの雑音です。ビックリするくらいガーガー言います。
30ヶあまりの違う材料がはぎ合されて組みあがったのがヴァイオリンですから、最初の弾きこみの30分くらいは、かなり雑音と言っても良いくらいですが、
そのくらいの方が鳴りだすと良い音になっていくようです。
二胡はどうも、ヴァイオリンなどより弾きこみに時間がかかるようです。
それはたぶん木が厚いからでしょうね。ヴァイオリンなどは一番厚くても裏板の4ミリくらいですが、二胡は厚いところでは8ミリくらいです、それも紫檀黒檀の硬い木ですから。
硬いと言えばシャム柿も硬いです。
繊維質が硬いのですね。削っていると細かい繊維が手に突き刺さります。
昨日も膝をつくとなんだか痛い!膝を傷めたのか?年なのか音もっていたところ、お風呂へ入る時に見たら、細い鉄のようなものが刺さっていました。
よく見たら、シャム柿の繊維だったのです。
そのくらいに硬いですからなり始めるまでに時間がかかりますが、先日富士の調整会で、6年ほど前に深澤先生の購入していただいた楽器の音色の良さ!
もう、絶品!
二胡の音なのです!
シャム柿の音とか紫檀の音とか超えて、弾きこんだ楽器は二胡の音なのです。
音色はそれぞれ違いますが、あ!これは二胡の音だなという風に聞こえてくるにはひたすら弾きこみの時間が必要です。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ