二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

新ワックイの役割、微調整器との関わり。

2023-03-25 11:43:40 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
二胡の場合、木軸が綺麗に回るものというのはとても少ないです。
殆どの場合最初から棹の穴の中にチョークの粉が詰まっています。
チョークの粉は木軸をかなりしっかりと、というより、ガチガチに固めてしまうことも多いです。
あるいは反対にとても抜けやすく、軽い衝撃で抜けてしまうこともあります。

これはヴァイオリンのネックです。
このように左右に分かれています。
この二か所にかかる力がバランスが良いととても良い止まりと回し良さを実現します。
ペグの元の方が強く先端にかかる力が弱いと抜けやすくなります。
また反対に先端の方がきつく元の方が緩いととても硬くて回しにくくなります。
二胡の場合も同じことが言えます。
ところが二胡の場合比較的角度が強く抜けやすい角度なのです。
それで、チョークなどで抜けにくくしていることが多いのです。
本来は、この絵の棹の穴の前と後ろだけで、ヴァイオリンのように二か所に力がかかるようにすると、とても良い回転と止まりを実現できるのです。
そこで私は調整に来られた方の木軸は殆ど削り込んで前と後ろで止まるようにしています。
ヴァイオリンなども、数年に一度ペグの削り直しなどして不具合を直しています,木は動きますから。
棹の穴にチョークの粉が詰め込まれると、回しているうちに前後から抜け落ちて内部だけにチョークが固まります。
すると、木軸は上下にも左右にもガタガタと動いてしまい雑音の原因になるようですし、調弦しても弾いてみると微妙にずれたりもします。
新ワックイは棹の穴の中に全体に張り付き内部の穴の削れ過ぎや木軸の歪みなど吸収してくれます。
そこでガタツキもなくなり、とても良く回るし止まるのを実現します。
本来は微調整器など使わなくても調弦できるくらいになるはずなのですが、
長年微調整器を使ってこられるとなかなか外せない方も多いようです。
確かに微調整器は調弦するのに楽です。
ところが、弦は弾くごとに伸びていきます。
そうすると、音程は下がり微調整器は音を高くする方向で回していきます。
所で微調整器もネジですから、いっぱいに回しきるともうそれ以上は音程はあがってくれません。
ここで、新ワックイを施した木軸を使っている方に少し問題が出ます。
微調整器を設定し直すために、久しぶりに木軸を動かそうとしたときに、アレーッと思う程固くなってるのです。
これは、新ワックイの中に含まれるオイルが止まっていると半固体になるからです、動かすとよく回ります。
「木軸が動かないのですが」というお問い合わせがこのところ数件来ます。
お聞きすると皆さん、微調整器を使っておられて、新ワックイを施してから木軸を全く動かしていなかったようなのです。
中には、左手が少し不自由でとかあるいは腱鞘炎で、またあるいは大変非力なかたで、などなど。いずれにせよ木軸を殆ど回さずに、練習していた方達でした。
これは仕方がないかもしれませんね、調弦するのはいくら新ワックイが施されたとしても、慣れないとやはり微調整器にはかないませんから。
でも、この新ワックイまったく固まって動かなくなるという事はありません、しばらく動かさないとちょっときつくはなりますが、力を入れて一度動かすと後はまたスムーズにうごきますし止まります。
微調整器を使うと弦も傷みやすいですし、また微調整器に弓毛が引っかかったりすることも多く、そのたびに弓毛に触ってしまうなどという事もあります。
先生の中には絶対微調整器を使うなという方もいらっしゃるようです。
私も使わない方が何かと良いとは思うのですが、お一人お一人皆さん力も違いますし、調弦の慣れなども違います。これは仕方ないのかもしれません。
新ワックイは施すことにより木軸のがたつきというのを無くしますし、程よい回転と止まりを実現します。
ですから、しばらく木軸に触っておらず、久しぶりに回そうと思ったときに回りにくいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは最初の一瞬だけです。
しばらく木軸を回さなかった方ビックリなさらずに、少しだけ最初だけ力を入れてみてください。
毎日木軸を動かして調弦されている方にはこのようなことはありません。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ

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