二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の形は、どこが鳴る。

2011-12-07 10:05:38 | ■工房便り 総合 


二胡の胴を構成する木の厚みは、全体的には6ミリぐらいです。

削りだす前の厚みと言うのは、11ミリです。それを半分くらいに削り落すのです。

その6ミリの厚みが一番影響するのが、この③~④の処と言えます。

これは、蘇州型も北京型も全てこの部分の6ミリと言う厚みは変わりません。

材料が違ったとしてもっこの部分に関しては6mmが最低ですし、それ以上と言うのは殆どありません。

3番目の北京型を見て戴くとと良く解りますが、内部は平らです。

④の処は多少厚くなっていますが、外側がはっきりと削りだされています。

外側を削ることで、きっぱりと6ミリを維持しています。

その他のものは多少前後に厚いところもありますが、この③に近いところは必ず、6ミリになっているようです。

皆さんがいつも見ている二胡の胴の外側の形と言うのは、内部の形に添って、

これを維持するための外形と言うことが言えます。

現在の二胡は全て、外側を削ることで内部の形に合わせて、6ミリを維持します。

それでは外側を単なる、6角形の筒にしたとしたら、内部はどうなるかと言うと、

この部分が、内部でへこみますから、内部は、ワイン樽のようになります。

或いは日本の太鼓のようでもあります。

この音は大変クリアーな音が出ます。まるでバイオリンなどの西洋の楽器に近い音になります。

これは、不評でした、この形で作った世界一硬いと私が感じるホンジュラスローズの二胡はまるで、ホーンのようです。ラッパです。

これはこれで私は好きなのですが、皆さんどうもお気に召さないようで、最近は作っていません。

内部が膨らみますから。とても良く響くので気持ちいいのですが、

残念です。

この形にすると、如何にも二胡は太鼓と言うのが良く感じられます。



③~④この部分の内部を荒らし削りをかけると、二胡の音全体に渡って、音がクリアーになります。

何故だか判りません。

この部分をつるつるに磨くと、残響が多くなり、如何にも二胡ぽく聞こえますが、私には、残響がひどくて、エコーかけ過ぎの、カラオケのように聞こえます。

木の種類の違いによる音の違いと言うのが、良く分からなくなります。

良くは鳴っているのですが、なんだか魅力の無いものにも聞こえかねません。

何故でしょうか、まさか音が滑って転ぶわけでもないでしょうが、この部分を適度に丸鑿で横摺りすると残響がコントロール出来ます。

最後にやればよいのでこれは簡単です。

ここを荒らすとへんな残響が無くなり、木の種類の違いによる音色の違いと言うのがかなりはっきり現れます。

なんだか荒らした方が、残響が多くなりそうなのですが、何故でしょうか?


しかし皆さんはやらないでください。

なぜならば、次の④の処を削るとかなり始末の悪いことになるからです。

④~⑤はニ胡の胴の中で一番厚くなっているところです。

ここは通常11ミリの厚みです。

ここは、弓を弾きながら、胴を触ってみて下さい、振動をしていないところだと言うのが解ります。

全く振動していないのではないと思いますが、この中の1点は殆ど振動しません。

振動させないために、厚くしてあるともいえるし、

ここを厚くすることで、その前の部分の③~④の薄いところを良く振動させるために厚くしてあるのか分かりません。

ちょうど、二胡の棹の頭が大きいために棹が鳴ると言うのと同じことが言えると思います。

音のタメ、溜めを作っているのではないでしょうか。

いずれにせよこの部分の振動はかなり少なくなります。

ですから二胡の台は、この部分、後ろから40ミリの処に、木ビスで1点止めなのです。

この台を他の処に穴をあけたりすると、二胡は鳴らなくなります。

或いは、台と胴のあいだに隙間が見えるのが嫌と言って、間に何か詰めたりすると鳴らなくなります。やってみてください。
但し後でちゃんと取れるようなもので。

私も二胡の台の取り付け方法を組み木にしたり、色々考えたのですが、昔の人も多分沢山失敗して、今の木ビス止めになったのだと思います。

これも何か良い方法あると見た目には良いのですがねーー

どこのだれがここまで考えだしたのかしれませんが、ほんとに良く考えられています。

多分私みたいに、沢山残骸を作りだして、その経験が積み重なって今の形になってきたのだと思います。

まだ今の二胡が作られてから、50年あまりです。

この間にもう、古い蘇州型から北京型までの改造がなされていますし、

ジョージガオさんの持っているようなエル字煙突(胴が真ん中あたりで煙突のように上を向くのです)のような形まで現れていますし。

頭の形も様々あります。バイオリンのように、400年変わらない形であるのではありません。

まだまだ開発途上と考えても良いのだと思います。




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5 Comments

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構造物って (ぢみ)
2011-12-07 21:16:39
固有の周波数で共振します。それもその周波数特有の振動モードがあります。音を響かせるためなら当然振動の節になるところを固定すると最も影響がなくなります。昔の人はそれを経験的に分かっていたのだと思いますね。これを振動の腹で固定しちゃうと音に大きく影響しますね。バイオリンの胴の響きを確認するのに、その振動の節で支えて確認するのはそういうことです。この振動モードをコントロールできればこれまた面白いのですが。
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これは! (nishino)
2011-12-07 21:43:24
皆このブログもコメントも読まなくなります。
でもおっしゃる通りなのです、

構造物を鳴らすには何処か強固な無振動部分が必要なのです。

ですからカホーンはゆかにおいてはじめてなります。そうでないとボテボテですし、

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大丈夫です。必ず読んでるひといます♪( ´▽`) (yamanashi-H)
2011-12-07 22:20:24
しっかりチェックしてますので、懲りずに?イエイエ、そんなお言葉出てこなさそうですね(笑)
是非たくさんブログ更新して下さいね。
また近いうちにご訪問し(たいと考えて)ます。
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yamanashi-H (nisino)
2011-12-08 18:18:53
熱烈歓迎です。

あまりなマニアックな話しに、思いっきり読む人が減ってるようです。

確かに、面白いと思うのは、、、、

でもこれは記録として残しておきたいことなのです。

二胡の製作図と言うのは中国にはあるのです。

ここが何ミリでと言う風にはなっていますが、

材料の違いまでは書いてありません。

材料が違えばいろいろな寸法が変わりますね、

今中国では、今までの寄り弾きやすい楽器とかいろいろ研究されています。

現実最近になって私の二胡に近いものも出てきています。

同じようになりますし弾きやすいです。

覗いてみたら、殆ど同じでしたね、

無いのは、ドデカゴンタイプですかね。
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すみませんね。。。 (ぢみ)
2011-12-08 22:44:54
ソレガシのせいで読者が減って申し訳ないです。自粛モードに突入します。
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