二胡工房 光舜堂

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二胡購入時にチェックしなければいけないこと。その7再度皮の事

2011-06-27 20:35:50 | ■工房便り 総合 
二胡の蛇皮の事で、書き忘れというか、なかなか書きにくい事、敢てここで書かせていただきます。

この皮は良くない。

これは良い皮。

こんな言葉を先生からお聞きした事のある方が、沢山居られると、思います。

何を持って良い皮悪い皮と言うのでしょうか?

見ただけでわかる皮良し悪しと言うのが有るのでしょうか?

当然その二胡を弾いてから、二胡のあちこち見て、皮も見て、

この皮は良くないというご判断なのでしょう。

もちろん弾いてみたうえで、結論として皮が、良くないという事だと思いますが、

、、、、、、、

たまたま、私のお会いした中国人の二胡の演奏家の方の中には、

弾いても見ないうちから、これは皮が良くないと言う方がおられます。

理由をお聞きすると、

鱗が小さい。

鱗がたっている。

などと言う話です。

鱗の大きさは、蛇が大きければ、大きくなります。

特に大鱗錦蛇と言う、食用の物も在ります。

食用でどんどん大きく育てますから、普通の蛇の倍くらいのスピードで成長するのだそうです。

ヘビのブロイラーですね。これは鱗が大きいです。

二胡に張って鳴らして見ると、なかなかに音色は良いのですが、

鳴りません。ボリュームが出ないのと、響かないのとですね。

特徴は、かなり黄色みの強い縞があります。

もっとも、天然のニシキヘビの中にもかなり黄色い感じの蛇もいますし、

沖縄の三線はその黄色みがかった色を良しとする傾向もあるようです。

さて鱗の大きさです。

結論から言いますと鱗の大きさは、二胡の鳴りと響きには直接的には関係ありません。

薄い皮ですと、出来てすぐ良く響きますし音も大きくなります。

厚い皮は、鳴り始めるのに時間もかかりますし、最初のうちは弾き木もそれほど良くはありません。

弾きこんでいくうちに、(多分1年くらい)次第に重厚感のあるふくよかな音になって行きます。

これは、二胡に張られてから振動で皮が適度に緩くなっていくからでしょう。

鱗の大きさは、その蛇の年齢や個体差によります。

年をとれば、鱗は大きくなります。

ですが使いごろの年と言うのが有ります。

5歳くらいから、9歳くらいまででしょう。

当然9歳の蛇は鱗が大きいのですが、今ベトナムでの養殖は、だいたい5歳くらいまでで、経済効率、(餌代との兼ね合い)で、取ってしまうようです。

ですから、大きいと言っても、せいぜい鱗一枚が、大きなところで8ミリぐらいまでです。

一枚の蛇皮の中でも鱗の差は有ります。

お腹の周りがやはり一番大きいのです、一番小さいのは、首のあたり(蛇に首が有るとすれば)でしょう、

私が使っている尻尾~5枚くらいまでは、だいたい、6ミリ~8ミリ位ですかね。

しかし中には、鱗は5ミリくらい切りないが、とんでもなく厚い皮を持つ物もいます。

これは貴重です。

見た目はなんとなくみすぼらしいのですが、また鳴り始めるのに時間はかかりますが、

鳴り始めた時は、多分、中国の名人たちの使っている皮より鳴ります。

ですから、見た目の鱗の大きさと言うのは、皮の良し悪しと言うのにほぼ関係ないのです。

唯一、鱗で良し悪しを判断するとしたら、

その形でしょう。

簡単に言うと、尻尾に近い部分は、ほぼ正方形に近いのです。

お腹のあたりは大きくはなりますが、ダイヤモンド形と言えるでしょう。

縦長な、ひし形と言えるかもしれません。

これは張るのが難しいです。

大きな蛇のこのおなかのあたりは、ひし形ですが、十分厚さもありますし、むしろ弾力もあります。

上手く張れれば良くなります。

問題は縦横の伸び率が、極端に違うのです。

横が良く伸びます。ですから一枚一枚を丁寧に伸ばしていけば、良く響く二胡になるのですが、量産の場合、縦横に均等に力をかけますから、横方向が、しっかり伸び切っていないことが多いのです。

ですから、後から伸びてきやすく、最初は良いのですが比較的長持ちしないことが多いのです。

ところがこの鱗の縦型のタイプの皮が張ってあるのは、最初から良く鳴ります。

しかし次第に雑音なども増えていきやすいのです。

お腹のあたりは、面積も大きいので数を取ることができます、10台分くらいでしょう。

しかし、かなり手をかけないと、良い張りになりにくいというのは有ります。

ですからこの鱗の形を見て、先生方は、良くない皮と言う方もいますが、

張り方次第です。

二胡の蛇皮は、鱗の大きさや、厚み色々言われますが、決定的なのは、

その皮に合った伸ばし方をしてあるかどうかにかかりますので、叩いてみないと分かりませんが、

これを、楽器屋さんや、先生の前でやったら怒られるでしょう。

光舜堂ではスティックを使わないで手でたたく分には問題ないです、さすがにスティックは皮に傷がつくこともあるので、勘弁して下さい。

とにかく皮の良し悪しは、張り方によります。

ご自分の二胡皮の部分を6角形全ての角、と辺、12ヶ所強めに押して見てください。

その弾力が一定ならば、良い皮と言えるでしょう。

そして、使ってある木の硬度や、質に合わせた厚みと言うのが有るのだと思います。

黒檀などのかなり硬い木には、やはり厚みのある皮でないと、黒檀を振動させきれないのだと思います。

反対に柔らかい、花梨やケヤキ胡桃などには、むしろ薄い皮の方が合うようです。

何事もバランスと言うのが大切だと言う事でしょうか。
(なんだかじじむさいですけどね、爺だからお許しを)

西野和宏








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5 Comments

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質問です (すう)
2011-06-29 22:02:38
ちょっと本文と筋違いなのですが、以前に皮の保護のために都度、弦を緩めることと書かれていましたが、
弦と胴の間に10ミリ位の棒をはさむのは代用案になりませんか?

返信する
それそれ (Jimmy)
2011-06-29 23:37:59
ワタクシは以前やってましたよ。鉛筆でしたけど。
どこぞの楽器店にはそれ専用のグッズまで売っていますですね。

皮にストレスをかけっぱなしにしないようにすることが目的だから、いいと思いますけど正解はこれ如何に?

それと似たような方法で、銅上部の淵に駒的なものを置くという方法もあるでよ。

鉛筆を入れるときに皮をこすっちゃうので、傷付かないか心配でした(笑
返信する
鉛筆 (nishino)
2011-06-30 07:56:52
すうさん

その挟む物が、駒より高ければ皮に対する圧力は減るでしょうね。

鉛筆ぐらいだと、駒と同じくらいですから、どうなんでしょう。

駒を胴の一番上に持ち上げるのはどうですか

これなら絶対ですね。

二胡把バイオリンなんかと違って、それほど圧力は高くないのですが、でも去年一年で、20台くらいは駒の痕の付いた皮見ましたよ。

かなりならなくなっていました。

相当暑いけわ、たとえば、先生方が使っている二胡に張ってあるくらいの、このくらいに厚いと多少跡がついてもそそれほどの影響は無いみたいですが、元が薄いと、駒の痕だけでは済まないようなのです。

それほどの手間ではないので少しでも緩めてやってください、。

あるいは駒を上にあげるか、
返信する
そうですね (すう)
2011-06-30 08:48:32
大事な二胡なので
やはり、弦を緩めることにします。

ありがとうございました。
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鉛筆は (Jimmy)
2011-06-30 23:25:02
大丈夫でしたね。駒の高さが比較的低かったのでしょうね。当然そこはチェックして使ってました。ただ、駒にかかる力がゼロではないこと、鉛筆を脱着するのに気を使うことなど多少の問題はあります。
鉛筆とか専用の棒のようなものとか理屈上は問題ないはずです。駒より高いことが条件ですが。
胴の上部に置くタイプはやめた方がいいです。外れやすいし、駒より高くても駒にかかる力は大きい。この場合は駒を外さないといけないですね。それなら弦を緩めた方がいいと思います。
まぁ簡単なので西野さんが仰る通り緩めるのが一番です。

因みにワタクシ、わざと皮をへこましたことがあります。そうする方が丸い感じの音になるかと思って。

狙いどおりでした。雑音も出ず。今その二胡は№.14君のところにあります(笑

動物皮ですけどね。。。
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