二胡工房 光舜堂

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二胡と刀。その2

2012-05-24 07:57:11 | ■工房便り 総合 
刀というのは鉄でできています。

鉄の中でも、いわゆる鋼という素材によって作られます。

鋼というのは、鉄と炭素の結合したもので、その炭素量が、0,2%から、2%ぐらいのものまでを言います。

純粋な鉄は大変柔らかく、純銀並みの硬さです。

女性の方でも小さなハンマーでつぶせるくらいです。

鋼は内部に含まれる炭素の量が増えるごとに、その硬さが硬くなります。

3%を越えると、反対にもろくなっていきます。

鉄でも鋳物(溶かした金属を型に流し込んで作る)に使われます。

南部鉄瓶がそうですね。

鋼は言うまでも無く、刃物などにも使われますが、弦楽器の弦も鋼で作られたものが多いのです。

今でこそ、弦楽器の弦は殆どがステンレス鋼によってつくられますから、いわゆる鉄のさびは浮きません。

ステンレスというのは、皆さんが見ている、キッチンのシンクなどに使われますね、錆びないので使いやすいです。

錆びというのが皆さんの考える錆びと、私の考える錆びというのが少し違いますのでしばらく、錆びの話をします。

錆びというのは、鉄や金属が空気中の酸素と結合して出来る物です。

鉄で言えば、第一酸化鉄・・・赤錆。

これは、完全に酸化していない不安定なまだこれからも参加する要素を含んだ錆びです。
昔の、京都の紅がら格子などや、比較的安い漆の赤い色に使われます、漆の本格的な赤は水銀朱を使います。陶器などの釉薬でも黒の色を出す時には、この紅がらを使います。1200度以上の温度で焼くと、この第一酸化鉄の紅がらは安定した、黒い色になります。

第二酸化鉄、・・・・黒錆、これが安定したもうこれ以上酸化しないという鉄のさび色です。

ですから、鉄を黒金というのです。

ステンレスは、皆さんが見ている物は、あの光った膜は、あれはステンレスの錆なのです。

要するに安定した酸化膜が表面を覆っています。たとえ皆さんが包丁などでシンクを傷つけたとしても、それは又酸化して、あの光った酸化幕が出来上がります。

ですから、皆さんが今使っている、二胡の弦は基本的には、赤い錆びは付きません。

もし赤く錆びた物が付いているとしたら、それは弦の静電気で、空気中の鉄分が付着して、錆びたものです。

先日神戸からいらした方は、弦に良く赤錆が付着したとおっしゃっていました。

多分、神戸製鋼などがあって、空気中の鉄分が多いのかもしれません。

私の工房は鍛冶屋もやっていますから、特に弦に錆が浮いてくる事が多いです。

二胡の木も錆びます。

錆びると言うのが酸化するという意味だとすると、錆びるのです。

木の中にはタンニンなどを多く含むものが多いのです。

いわゆる、茶渋や、柿渋ですね。

これは、酸化すると黒くなります。

ですから、作りたての紫檀などを購入された方は、最初の赤みがかった色が、どんどん黒くなって、なんとなく紫がかって来るのをご存知だと思います。

紫檀という名前の由来ですね。

いわゆる、紅木などの木は、(アサメラ、パドーク、マホガニー)最初は赤みを帯びていますが、そのうち、紫がかった黒に変わるのです。

そうなった時に、老紅木と呼ばれるようになります。

何で、紅木なのに黒いのだろうと、或いはこげ茶なのだろうと疑問に思われた方もいらっしゃると思います。

これが、錆び、酸化という事、です。


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