二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

3月16日(日)修理日和の春うらら10:00~17:00

2014-03-21 09:37:58 | ○営業日の報告日記
二胡を愛する皆様こんばんは、鞄持ち ほぉです。
もう春、ですねぇ。
昨年から、「春には新店舗へお引越し!」 と宣言していた光舜堂、
予定では、この時期とっくに新店舗の工事に着手しているはずでしたが、
術後のリハビリも兼ねて、先ずは ゆるゆると楽器作りを、、、と、先延ばしにしていたら、
店主、なんだか新タイプの二胡開発に熱が入ってしまって、
もはや、ちっとも ゆるゆるでもなんでもなく、がっつり楽器製作にウエイトが傾いております。
したがって、新店舗への移転は大幅に遅れることになるでしょう。


さて、屋外での二胡演奏も気持ちが良さそうだった暖かな日差しの日曜日、
ご来店下さったのは全員女性、という珍しい1日でした。
しかも、殆どのご来店が、修理がらみ。
もともとの不調での修理ご予約もあれば、
調整にいらしたのだけれど修理が必要だと判明した二胡も。


今、中国製二胡は続々と不調が出始めています。
光舜堂に修理で持ち込まれる二胡は、近年の作もあれば古い物もあります。
ですが、一見同じような症状で修理入院になる楽器でも、
古い二胡と、近年作られた二胡では、事情が大きく異なります。

光舜堂が始まって以来お受けしてきた修理の品々を診てみると、
10~15年前の頃に販売されていた物は、最近の物に比べてかなり良い物だったことがわかってきました。
ですから、古くて修理が必要になった二胡というのは、
経年変化による“必要メンテナンスとしての修理品”であって、
単純に、部材の老朽化が不調原因のほとんどですが、
それに対して、ここ数年で作られた二胡の修理となると、
素材の扱いと作りが雑なことによって、出るべくして出た、という症状ばかりです。

そして、いざ修理を始めて、胴の中を診たり、削ったりしてみると、
古い二胡の作りの良さ、素材の良さが際立つのです。
(店主はよく、工房で古い二胡を修理しながら「これ、良い二胡だなぁ!!」 と感嘆の声を上げています)

そんなこともあって、店主は普段から、
「むやみに目移りして新しい二胡を買うのではなく、今持っている二胡をきちんと治して弾き込もう!」
と呼びかけています。
前より値段の高い二胡を買ってレベルアップしたつもりでも、
実は既に持っていた二胡の方が質が良い良品、名品だった、なんてことはざらにあるからです。

ただ、壊れてしまったから、使えないから、直せないから、と
仕方なく買い替えてきたのが今までの二胡界の現状でしょう。
そもそも修理してまでも使う、という習慣が中国には無いようですから、
胴が割れて本国に修理に出しても、胴ごとすげ替えられて戻って来ることはよくある話です。
(それでトラブルになった話も、残念ながらよくある話です)


話しは報告日記から少しずれましたが、
そんなわけで、
この日修理完了で退院した とある二胡も、
古いのであちこちメンテナンスは必要でしたが、ものすごく良い音色のする良い品でした。
ところが持ち主さん、音が悪くなったからと先生に購入を奨められて最近新しい楽器を買ったそうで。。。
「こっちがこんなに良い楽器だと分かっていたなら買わなかったのに」と口惜しそう。

そんなよく似たケースが、この日だけでも、もう1件。。。

とは言え、今まで修理出来る所が無かったのですから仕方の無いことですよね。。。
それに、大事な二胡を修理に預けるのも、何処へ出して良いやら、なかなか勇気が必要でしょう。

二胡に関して心配事があれば、光舜堂をどうか一度お訪ね下されれば、、、と思います。
直ぐに修理に出さずとも、メールでもご相談に乗っています。
木のスペシャリストである店主 西野和宏が、最適な修理方法をご提案だけでも出来るのです。

先日ある修理トラブルを抱えた方のお話しを伺う機会があったのですが、
胴が割れたので弦楽器店(二胡は専門外)へ修理見積もりを出したら、
西野から見たら見当はずれの間違った修理方法を提示していて(←持ち主さんは知る由もないのですが)
しかも、とんでもなく高額の費用見積もりだった、という話でした。
(その金額を聞いて「ほぉさん、ウチって修理代安いね。。。」 と羨ましそうにつぶやいた店主)

二胡という楽器が分かっていないと、弦楽器を扱うプロ職人でも間違った修理をしてしまう事もあります。
でも、きちんと直せるのなら、きっと、
長年愛用してきた皆さんの二胡は、かなりの確率で良い楽器に生まれ変われる可能性を秘めているはずでして、
時には、ビックリなお宝もあったりするのですね。
ですから、消費税アップに購入を焦らず、お手持ちの二胡をまずは見直してみて下さいね。
そうそう、店主曰く、

「 たとえ最近製作されたタイプの二胡であっても、
一度とことん割れた後きちんと修理した物は、新品の状態よりも格段に良い楽器に変わることが出来る 」

だそうですよ!
こんな事言うとまたウチの胡が売れないけれど。。。(T_T)


でも、でも、なかなか売れないけれど、
西野二胡、良い新作二胡が続々と製作されているのですよ!
先日画像をアップした組み木の二胡を、この日はお披露目するために持って来ていました。
前日ワタクシ、工房で出来上がったばかりの物を弾いた時、
「これは。。。強い。。。ですね。。。」 といった感想。
パワフルでストロングな音色で、もはや二胡ではなく限りなくヴァイオリンのような音だったのです。

ところが、

日曜日は退院お迎えで楠田名保子先生もいらしたので、さっそく弾いてみていただくと、、、
もはや楠田マジックとしか言いようが無いのですが、もの凄く美しい二胡の音がしました。
「この二胡、なんて透明感がある音なんでしょう!」
と楠田先生も絶賛して下さったのですが、前日出来たてホヤホヤ、と知ってビックリ!
店主とワタクシも、前日のストロングな音色とは別物の音色が出てきたのでビックリ!

でも正直、楠田先生以外の人が弾くと、やはり音色は ひたすらストロング。。。
どう弾いても楠田先生のような、美しい二胡のやわらかさが出て来ません。
「なんて人なんだろうね!」 と、店主は楠田先生の奏でる音色の美しさに改めて感嘆です。
「やっぱり、音色は右手が作り出すんだな」 
以来、負けず嫌いな店主は、音色追及奏法をムキになって研究しております。


ということで、今週も遠方からもお越しいただきまして、
ご来店の皆様ありがとうございました!
お預りした皆様の大事な愛胡は、
店主西野が誠意を持って全力で、ベストな状態に修理させていただきます。
光舜堂を信頼して預けて下さっていることを心から感謝いたします。

ではまた来週♪

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