二胡工房 光舜堂

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二胡駒の条件

2023-03-04 11:32:52 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
駒で大切なのは、高さです。
皆さんも沢山駒を持っていらっしゃる方も多いと思います。
その中で、これはよく鳴る、あるいはこれは良い音色、これは雑音が少ない。
などなど、様々に変えている人も多いと思います。
ヴァイオリンやヴィオラは数年に一度駒を交換する人が多いです。
これは駒そのものが限りなく薄く軽く作られるので弦の圧力で、木が反ってきてしまうことが多いからです。反りを戻すこともできますが、その時に交換してしまう方が多いようですね。
それと木の質によっては、木目自体が圧力でつぶれてきて反発力が減ってしまうということもあるようです。
二胡の場合は決定的なのは、皮が変化することでしょう。
一年のうちに、湿度によって、皮が伸びる時期があります。温度が高く湿度の高いときには皮はとても良く伸びます。
伸びるということは、皮がピンと張っている時より沈んでくるのです。
、新しい皮でも湿度の違いによって0.5ミリくらいは差があるようですし、プロが10数年弾いたものなど、2ミリ近くも沈んでいます。
そうすると、皮に対する弦の圧力が下がります。
鳴りが小さくなったり、不安定になります。
こういう時には少し高さのある駒が、弦の力を皮に伝えやすくなるのです。
また皮が乾燥でぴんと張ってしまう時期もあります。その時に強くはなるけれど雑音が酷くなる場合もあります。こういう時には少し駒の高さの低いものにかえると、鳴りも音色も落ち着きますね。
これはもうすでに皆さんが経験上ご存知だと思います。
そして皆さんの楽器の千金の位置もそれぞれ違います。
また、千斤の幅も違います。
中には、千斤の糸が伸びてきてしまう場合もあると、弦の振動を良く伝えるために駒の高さを上げなければならない場合もあります。
販売されている低い駒と高い駒では、その差は3ミリ近くあります。
楽器の新しい場合、私の感じでは8,6ミリくらいの高さの物は、比較的よい鳴りをします。多少湿度の高いときにも低いときにも、それほどの変化もなくよい鳴りをします。
しかし弾き込んでいくうちに、皮が伸びてくると音も大きくなります。良くなり始める時期に来たのでしょうが、この時には、少しだけ低い駒の方が音色がよく鳴るように感じます。
問題はこのあたりから、
何故このあたりからというかといいますと、元々の皮の張り具合が違うからです。
皮は全て同じように張られているわけではないのです。
ですから全ての二胡が同じ時間だけ弾いたとしてもその進化具合が違います。
また弾き込み方も違います。何時間弾いたから、何年弾いたからという事が言えないのが二胡なのです。
薄い皮でしたら比較的早く成長するでしょうし、厚い皮だと皆さんが弾いて数年以上良い音がが出てくるまでにかかる場合もあります。
その良い音という事にしても、みなさんの好みが大変違うのです。
確かに駒の木の種類によっては音色も多少変わりますが、黒檀の楽器の音が紫檀の駒に代えたからと言って紫檀の音になることはありません。
響きの種類となり方が変わります。
他の人が使っている駒が良いからと言って、ご自身の二胡に合うとも限りません。
勿論、良く振動する材料というのはあります。彪駒に使っていたゼブラウッドや、松節、そして真黒黒檀の駒はとても良く振動します。
しかし、皮の進化の状態によっては高さの違いの方が大きく影響するようです。(彪駒、あるいは黒彪駒をお持ちの方で、しばらく弾いていたら鳴らなくなったなどという方がいらしたら、楽器ごと送ってください、あるいはい工房までいらしてください、合わせますから)
特に高さによる変化は大きいのです。
比較的どんな種類の木の物でも二胡はよく鳴ります。
弾き方そのものが皮を良く振動させるようにできているからです。
良くならないという方の弾き方を見せてもらうと、胴に対して平行でなく弓が斜めに弾いていることも多いのです。
又、多少斜めに弾いたとしても、弓の毛を比較的緩く張る人は、その斜めが吸収されて弦としては平行に、皮に対して縦に弾けてしまうのも二胡の良いところだと思います。
先生によっては弾き方にも弓の持ち方も大変違います。
それら皮の変化や弾き方、また千金の位置や幅の違いまだ考えると、これが決定的というような駒は考えにくいのです。
その中でも、駒自体が変化してくれやすい松節は、その弾力のある冬の木目が弾き方にも応じてくれ、皮が多少変化したとしてもそのことに応じてくれるようです。
そしてしばらく弾きこむと皮になじんでくれるようです。
それでも、10年も15年もプロの方が弾きこんだ皮だとすると、相当緩んでしまい、かなり10ミリくらいも高さのあるものを使わないと十分な振動を皮に伝えられなくなるようです。
駒は皮の変化とともに、高さのあるものに変えていくと、良くなるようです。
ですので、一度皆さんお持ちの駒を並べて、材料より高さを基準として選んでみてください。
楽器は良く弾き込んで良くなるようにすると、その本来の音が響いて良い音色になってきます。そのよく鳴るというのが、皮の厚みや張り方そして弾き方弾き込み具合によっても大きく変わります。そのことによって駒の高さも変えてみるのが良いのではないでしょうか。
今使っている老紅木の駒が鳴らないけど、紫檀に替えたら良くなるようになったなどというとき、その駒の高さを比べてみてください。
そして新しい駒はなるべく一月くらいは変えずに弾き込んでみてください。多少その間湿度の変化などがあっても、駒の木が鳴りだすのに、そして駒が皮に馴染むのに時間がかります。
15年してやっとこんなことが分かって来たようです。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ








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