もしかしたら色々な弦楽器の中で駒・ブリッジ・馬というのが一番種類が多いのが二胡の駒かもしれません?
ヴァイオリン族の駒を演奏家が自分で作るというのはほとんど無いと思います。
勿論購入した原型を自分の楽器に合わせて削る人はいるでしょうね。
三線や沖縄のクーチョ―の人たちも駒を作ったりする人もいると聞きます。
三味線ではまずないですね。
ギターも琵琶なども、多少削ったりする人はいるかもしれませんが。
ところが二胡には駒を作ったりする人は多いです。ヘグムもですね。
それは、ヴァイオリンなどに比べて、構造的に簡単だからではないでしょうか。
二胡以外の擦弦楽器は振動板(皮や板)を鳴らすための縦の振動と弦を振動させる横方向の振動とが方向がちがいますが、二胡やヘグムは弓を弾く方向と同じ方向に表板が振動するようになっています。
だからでしょうね、例え鉛筆の一部や、1センチ角くらいの物でありさえすれば、金属でも木でもそれこそプラステイックでも二胡はかなりしっかりなります。
ヴァイオリンにただの四角い板を付けて鳴らしてみたことがあるのですが、とても小さな音になるのと雑音だらけになるのです。
木で作られている駒は基本的に木を横に使います。
木には夏目と冬目があり冬目は柔らかく夏目が硬いので、横に押すとその柔らかい部分が弾みます。その振動が表板に縦の力を加える役割をはたします。
木によってその弾み具合が変わります。
これはレッドシダーで作られた鉛筆です。横方向に木目が走っていますね。
ですからこのまま使えばとてもよく鳴ります。これを回転して縦に木目が走るのとでは音の出がかわります。やってみてください。
これは中国広州の脂松です。
見事に積層ですね。
同じ松でも南方で育ったものの方が、木目の太さが大きいのと冬目が厚いのです。そして木自体の南側も。ですので発条の役割をよく果たします。
これは桑です、桑も夏目と冬目がはっきりと違います。
まだ駒にしたことはないのですが、これもよく鳴る駒になるでしょう。
ただ、全体に硬いので意外と高い音をよく拾い出すかもしれません。
二胡だけでなく駒に使う木は水平に積み重ねられた形状が大切です。
その点で、松節が一番良く楽器そのものの振動を拾い出すと考えます。
元々がこんな丸い木ですから、すべてがこの画像のように完全に水平になっているわけではありませんが、二胡の場合はそこそこ水平でも鳴るようです。
むしろ冬目がなるべく太い方が良いのではないかと考えますが、これも好みでしょう。
なんにせよ、二胡の駒は材を問わないという感じがあります。どんな材料でもそこそこは鳴ります。
後は皆さんがお好みで選んだり作ったりできるのも二胡の演奏の楽しみの一つかもしれません。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ