二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の調整を頼まれて、困ること。

2021-04-30 09:23:20 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
とにかく困るのは、音が良くないので、何とかしてもらえないかと、頼まれることでしょう。

音が硬い。

雑音がする。

音をもっと大きく鳴るようにできないか。

もう少し高音が出るようにしてほしい。

などなど、これらの事は、駒を交換したり、弦を変えたり、台を止めるネジを閉めな押したり、木軸を削り合わせたり、

たぶん皆さんも、様々に、ご自身の二胡に手をかけて、何とかしている方も多いと思います。

ありがたいことに、中には二胡の救急箱を読み込んで、不具合が、直りましたなどとお知らせくださる方も、おられます。

音が良くない!と、お願いされることがたまには、あるのです。

音が良い悪いというのは、個人的な感覚の問題もあるので、調整の時にはとても困ります。

しかし、私自身も楽器をお預かりして、これは音が良くないなと、つい言ってしまう場合もあるのです。

何か特定の雑音という事ではありません。

音はかなり大きく出るのです。

お客様も、駒も取り換えて、弦も取り換えて、フェルトも取り換えて、色々試してみたのだそうです。

それでも確かに、音が良くないという言葉以外出てこない楽器というのがあります。

音が割れた感じ、大声を出し続けていた後、声が枯れてそれでも、大きな声を出す、という感じでしょうか、

二胡独特のふくよかさが無くなるのです。

これらの楽器に共通の事があります。

楽器が新しい間は、大変良く鳴るし、音色もそれほど問題はなかったのだそうです。

それが弾き込んでいくうちに、次第に音が悪くなってくる気がするのだそうです。

それだからかもしれませんが、案外中古で購入したものの中にそれらの、音が良くないと、感じられるような楽器が多い気がします。

これらの、困った楽器のもう一つの特徴は、音が揺れる感じがあるのです。

それから、音を強く出すと、音が割れる。

特に、この音の割れが、良くない音に感じさせるのだと思います。

それからもう一つの共通の特徴は皮が薄い。薄く削られている、それから鱗と鱗の間が大きい。



画像を比べてみてください。

多分、皮の裏の削りに問題があるような気がします。あるいは、特殊な伸ばし方をしているのか、これは分かりません。

今までに、音が良くないからと、調整に来られた方の半分くらいは、ご相談のうえで皮を張り替えました。

そうすると、全く問題なく良い音になるのです。ですから、木部の問題ではないと考えます。

皮の削りの微妙なところは、目で見てもわかりません。

胴の裏から光を透かして見ても、全く問題なく見えるものもあるのです。

確かに、大変薄くは削ってあって、かなり光を透過はします。でも、それでもよい鳴りになる楽器というのもあります。

お客様と相談して、この音の割れさえ何とかなれば、皮を張り替えずに、これでも良いという事になった場合は、

この音が割れるほど大きくなる、という事を、少し抑える方向で、駒など作ります。

そして部分的に、胴の厚みを増やして、振動を少なくします。

また、お客様に相談して、多少皮に手を入れる場合もあります。

但し、経年変化で、皮がもっと緩んできた時には、手の施しようがありません。

生の蛇皮というのは、本当に難しいです。

ですから、お客さまが、とても大切に感じている楽器だとしたら、私は、安定した振動のCDMをお勧めすることが多いです。


工房光舜堂西野和宏&ほぉ


Comment    この記事についてブログを書く
« 我ながら!可愛い!1 | TOP | 光舜堂11周年記念!プレゼント! »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 二胡の救急箱に書かなかったこと