二胡工房 光舜堂

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『 にこのこま 』 : 光舜堂の松駒 効果の秘密 まとめ

2016-02-09 10:38:11 | ●その他 商品のご案内

光舜堂製の松の駒は、通常サイズの『松鷹駒』と富士山みたいな横長形の『松富士駒』があり、通販ではこの2つをセットにして『 にこのこま 』として売り出します。

この駒は、楽器に馴染んで着けた楽器に合わせて育っていきます。ですから1把決めたら他の二胡には着け替えずに、ずっと継続してその着けた二胡専用の駒として使用して下さい。
『 にこのこま 』(ダジャレ気味ですみません)

光舜堂製の駒は各種がどれも、その特殊な形により絶大な結果を発揮していますが、
新発売の松の駒はそれにも増し、以前から中国でも良いと使われて来た松材の特性を
より効果的に活かせる部材を使い、効果が出る製材と仕上げをしています。
今回は、その光舜堂製の松材の駒がなぜ、雑音を消し、音量を上げ、音色を甘くするのか、その“材料としての謎”を画像付きでご紹介します。





【 1、 序章1:まず、なぜ2個セットなのか 】
本来、二胡の駒は、楽器それぞれに合わせて、削り込んでいくものです。また千斤の巻き方などもその駒によって変えていかなければいけないものです。これは全ての擦弦楽器に言えることです。しかし、万能薬のような松の駒は、多少千斤がきちんと巻けていなくても、調整出来ていない二胡でも効果を発揮出来ますが、皮の張り具合の強さ加減や緩み具合で駒のサイズは変わらなければいけません。ここで問題はどちらの駒を使うかの判断はとても難しい為、手元に両方の駒があれば必ずどちらかで対応出来る、ということなのです。


【 2、 序章2:二胡の蛇皮の状態と寿命とは 】
通常、買ったばかりの新品の蛇皮の二胡は皮が硬く張ってあり、皮が新しいことと、張りたてなので、音も硬いです。その状態を弾き込んで育てることで蛇皮は音の振動で時間と共に柔らかくなって弾けば弾くほど良い音色になっていきます。そして、個体差によりますが、良い皮を良い状態で張ってある楽器であれば、良い環境で良い取り扱いで弾き育てれば、およそ15年はその皮で楽しむことが出来ます。それでも7,8年で皮は柔らかくなり始め、徐々に柔らかさが増し、やがてピークを過ぎた蛇皮はだんだん弾きにくくなり寿命を迎えます。寿命を迎えた蛇皮はある日突然、いっきに昨日までの音とは同じには鳴らなくなります。そうなると蛇皮は張替えなければなりません。



【 3、 序章3:皮の成長に合わせた光舜堂の松の駒とは 】
そんな二胡の生涯に寄り添える駒として、まず成長期には『松鷹駒』、柔らかさを増してきた熟成期や、トラブルによって緩んでしまった場合には、『松富士駒』が適しています。良い皮を良い状態で張ってあれば当分の間は『松鷹駒』で楽しめます。弾き込めば弾き込むほどに松材の駒は育ちます。
しかし近年の流行なのか、最近では新品でも皮がとても柔らかく張ってある二胡が増えています。このタイプの二胡は買ったばかりでも最初から良い音色になるようにと皮張りを柔らかくしてありますが、その分寿命が短くなってしまいます。そして、1年もすれば『松富士駒』でないと良く鳴らない状態になってしまいます。
この皮の状態が、現在自分の二胡はどうなっているのかは、使用年数の長い・短いや、新品か古いか、では判断出来ません。皮が良くても胴部分の木が狂えば皮も歪みますし、どれだけ多く弾き込んで皮が成長しているかでも違います。その点、『松鷹駒』と『松富士駒』の両方が手元に在れば、とりあえず両方試して音の良い方を使えば良いのです。

 松鷹駒

松富士駒

【 4、 本題:松材の駒が良いと言われる所以 】
松材というのは、その育つ時期の材質=春材(しゅんざい)と秋材(しゅうざい)の素材の性質の違い、が目に見えて分り易いです。春材は柔らかく、秋材は硬いです。
白っぽい層が春材、濃い色の層が秋材

また感触も層になった材を指で押して触ってみると弾力を感じます。柔らかい春材がクッションの役目をするのです。
むにゅっ☆

この硬さの違う二つの層がほど良い振動を皮に伝えることが、松材の駒は良いと言われる所以です。しかし、従来の中国製の松節の駒は結構キンキンする音がする物も多く好みが分かれる駒でもありました。そのわけは、材の選び方と製材の仕方です。まず材の選び方ですが、従来の松節の駒は二層の間隔の狭い物が多いです。春材と秋材の間隔が適度にある物の方が振動がマイルドに伝わるようです。
次に製材の仕方ですが、二層になるようにと板に製材してもほとんどの板は横から見ると層が斜めになってしまいます。


これをそのまま普通に駒に製作すると、正面からは層が水平に見えても実際は側面から見た時に二層は斜めになってしまい、せっかくの二層の効能が十分に発揮できなくなってしまいます。
ちょっとピンボケですみません

理想的な層の取り方は、正面も側面も二層が水平に入っている状態です。


この状態になるように作るには、この画像の赤線のように作らなければなりません。しかも、駒のトップ部分は秋材になっているようにしなければ意味がありません。ものすごく材料に無駄が出ますから大量に作るようなメーカーではとても作っていられないでしょう。


ですから大量生産だとこうなるのです。これではせっかく春材と秋材の硬さの違う材の層があるのに、良い音色のために春材と秋材の層が音の振動を真っ直ぐに皮に伝える役割として活きません。
更に残念なことに、この駒は春材がトップに来てしまっています

蛇皮にダイレクトに振伝動☆

せっかくの層が振伝動に活かせません




【 5、 仕上げ:松の樹液が音色を作ります 】
光舜堂製の松材の駒は、中国広州産のヤニ松材です。この材は他の地域産の松材よりも松脂等の樹液をたっぷり含んでいますので製作の最後の仕上げで高熱風をかけます。するとブクブクと樹液が層の間から吹き出し駒をコーティングするように全体をおおいます。そのコーティングが弾き込むと全体に微細なヒビが入るので、それで駒がより良く鳴ります。
熱をかけて滲み出した松脂や松オイルなどの樹液


※ ですから松脂アレルギーがある方はこの駒はご使用にならないで下さい

何れにせよ、2把以上お持ちの方が多いですから、
どちらの駒も無駄にならずに両方の駒がお役に立てると思います。

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2 Comments

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私も多分 (名古屋人)
2016-02-09 23:24:55
買うと思います…うん、買ってしまうでしょう(笑)

二胡姫さんからアナウンスがありましたので楽しみに待っています。

それより胴割れを見てもらいに行かねばですが…
なかなかタイミングがなくもう少し先になりそうです。
阿炳礼賛も気になるし…
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名古屋人さん (nisino )
2016-02-11 10:00:54
いつでもお待ちしています。
返信する

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