二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

色々なお問合せ・蛇皮は張り替えられるのですか。

2020-03-06 10:36:53 | 二胡の救急箱に書かなかったこと


張り替えられます。

むしろ、耐久力の落ちてきた蛇皮は、

言い方を変えると、自分の思っているような音が出てこなくなった10年を過ぎたもの

あるいは、10年にも達していないのに、なんだか内弦の音がぼわっとしてきて、高音も出にくくなったもの、

など、自分の気に入っていた響や鳴り音色と変わってしまってきたと感じたら、張り替えるのが良いと思います。

楽器の寿命ですから、生物学的にというのではないです。

但しそれらでも、楽器の調整が間違えていることもありますから、その辺はご注意ください。

ある中国人の演奏家が演奏会で、「二泉映月」を弾いた時に、どうしても後半の高音部の音が出てこず、

致し方なく、その部分を編曲して、おとを下げて演奏していたのをきいたことがあります。

これは800人ぐらい入る演奏会場でしたから当然PAを使っていましたが、にもかかわらず、一オクターブ音を下げていました。

この方の二胡は20年使っていたそうで、さすがに、次の機会の演奏会では、他の楽器を使っていましたね。

お会いする機会があって、そのlことについて、聞きました。「なぜ皮張り替えて使わないのですか」

お答えは、皮を張り替えて使うというのは聞いたことがない、これは寿命だからと思っている」

比較的中国人の演奏家の方は皮を張り替えてまで、二胡を使わないと言います。

育て直すことが大変とも言います。

然し本当に少ないですが、元の音色が大切だから、7.8年で張り替えて使っているという人もいます。

張り替えた楽器というのを知らないともいう人もいます。

これは単に個人的な音に対する考え方の違いでしょうね。

演奏家は、何台もお気に入りをサブに持っているから、取り換えるだけ、とのことです。

そういえばその方も、これはなかなか気に入っているという楽器を、4台くらい、そのほかに20台くらい持っていて、

その4台は、長く弾き込んできているようです。

本当にお気に入りは、1台だとしても、サブをたくさん持っていて弾き込んできているのですね。

確かに、一台きりない場合は、皮を張り替えている間に演奏が出来なくなりますね。

このように、たくさん持ってたくさん育ててきた方は良いと思うのです、他の楽器に変えるだけで。

ただ、時代も変わりました、日本の二胡の愛好家とは、様々な条件が違います。

以前二胡に使われていた、古い家具の材などが枯渇してきて、

ましてや世界中でも木の伐採に関する法律が厳しくなり、

木によっては全く輸出入が禁止されるようになってきたこと。

良い木は、大変貴重なのになって来たのですし、大変日本では高額な、

多分皆さんが10年以前に買った30万前後の小葉紫檀は、すでに同じレベルなら100万円を超えています。

以前は天然の蛇を捕獲して使っていましたから、むしろ蛇皮の方が以前は貴重であったのではないでしょうか。

天然の蛇の捕獲が禁止され、それまで食用と皮の需要で養殖されていた蛇が、

更に養殖が強化され、安定した数を手に入れるようになって来ています。

ここで、蛇皮を使うことが、動物愛護の観点からして問題はあるなということは少しおいておきます。
既に洋楽器はドラムもティンパニーも、人工皮が使われるようになっています。
私自身、動物愛護という観点からも、また楽器の音の鳴りの安定度からしても、人工皮を研究してきましたし、
むしろ、優れていると最近では思っていますし、またそのように評価してくださる演奏家もいます。


また、新しい二胡の皮は、ピンと平らになっていますが、良く弾き込まれて、振動してくると。鱗と鱗の間が伸びてきます。

ですから、10年以上生き込んだ楽器の、蛇皮は駒に押されて少しほんの少しへこんでいるのが分かるはずです。

要するにどれだけたくさん弾き込んだかということだと考えられます。

たんに皮として存在するだけなら、保存方法さえよければ、100年以上持つでしょうが、

寿命というのは、楽器に張る皮としてはということです。

ですから沖縄の三線などは3,4年で張り替えると言いますし、三味線なども5年くらいで張り替えます。

中国では、二胡の一番大切な部分が蛇皮であるとして、蛇皮の耐久力がなくなると、張り替えずに新しい楽器を使う人が多いようです。

これは一つには、以前は、天然の蛇皮を使っていてそれほど沢山取れなかったことにもよるのでしょうが、

時代が変わってしまったのですが、いまだに中国本ででは二胡の木部の生産は家具やさんなどがやっていて、かなり安く作れています。

以前は、古い家具や家屋の解体材料を使っていましたから、木の原価というのはそれほどの物ではなかったというのもあり、

蛇皮を張り替えるより新しいものをということがあったのかもしれません。

二胡の音は蛇皮によると考えている方も多かったのでしょう。

ですから極端な話、蛇皮を張り替えたら元の音とは全然違う、という方もいますが、

はたしてどうなのでしょう、

その方たちがご自身の長年惹きこんできた二胡の皮を張り替えたという話は聞きません。

全然変わるというのは新しい楽器を買う程にということなのでしょうか?

それで新しい楽器を買うとしたら、それこそ全く違うものになりはしませんか?

日本の場合三味線や三線、あるいは胡弓など、皮お張り変えることは日常的です。

私の三味線なども、もう3回も張り替えています、たいして使っていないのですが、思い出の楽器ですから、皮張り替えても生かしてあげたいのです。
(今は友人が使っていますが)

大切なのは棹と皆さんおっしゃいます

確かに蛇皮を張り変えればその振動は変わります。

まったく同じようにはならないでしょうが、他の楽器を買うということを考え

それを最初から弾き込んでいくということで考えると、蛇皮を張り替える方が、本体の木が変わらないのですから、

弾き込みさえるれば音色はそれほど変わらないと考えています。

あるコンクールで金賞をとった人の二胡の皮は、数年前に私が張りかえた皮ですが、大変音色を褒められていたようです。

もちろん張り替えたばかりは、今までの二胡の音が体と頭に残っていますから、違和感はあるかもしれませんが、

半年も弾くとか、元の音の感覚が戻るようです。

いまや、良い木の値段が高騰しています。

光舜堂にいらっしゃる、お客様の中には大変多くの本物の小葉紫檀をお持ちの方もいらっしゃいます。

もし皮が伸びてきたとして、その方たちは、100万もする二胡に買い替えたいのでしょうか。

今、皆さんがお持ちの小葉紫檀にはそのくらいの価値があるのは間違いないです。

でしたら皆さんの愛器、皮を張り替えて使うというのは合理的ではないかと、私は考えますが、

長い間、付き合ってきたこの胡をたいせつにしたいと思う時、皆さんはどう考えますか?

この胡はそのまましまっておいて記念にして、新しい楽器購入するのか。

この胡の皮新しく変えてさらに長い間付き合おうと思うのか?







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