かなり派手に割れていますね！
これは割れているというよりは、剥がれているということです。
胴は、皆さんご存知のように、何らかの接着剤で接いであります。
このように、剥がれるのは、原因はいくつかあります。
そもそも、接ぐ時に、その接着面がきれいになっていなかったか、埃が付いていたのもあるかもしれませんし、
木の油分がとても多くてそれを取り除いていなかったのかもしれません。
どんな接着剤の仕様上の注意！にも書いてあります、接着面は綺麗に埃を取って、油分を拭きとる、というのが、
この、二胡に関しては、油分が拭き取れていなかったようです。
剥がれた面を見ると、接着剤が、浮いています。
まず、この浮いている、接着剤を取り除くことが肝心です。
幸いにも、というとお客様に申し訳ないのですが、3か所剥がれていますので、接着面のボンドを取り除くのは比較的楽です。
これが一か所ですと、狭いところのボンドをとりのぞくのがたいへんですから。
それと、作業するときに、これ以上開かないようにするのも大切です。
これ以上開くと、皮に負担がかかります。
それからもう一つ！
割れた部分が４か所あります。先ほどは3か所でした。
胴を外そうとしていて、もう一ッか所割れが増えたのです。
これは作業中ですからそれほど問題はないのです、一緒になお直せます。
以前、同じようなことで、えらい失敗をしてしまいました。
一か所の胴割れがありましたので直して、お客様にお渡ししました。
その時にはもんだもなく、それから一週間ぐらいして、お客様に、直っていない、また割れた。
？？
ご来店いただいて、見せてもらいましたところ、直した以外のところが割れていたのです。
お客様にも、違うところが割れたのだという事を確認していただいて、再度直しました。
それからは、胴割れの修理の話が来た時には、胴を外して、軽く叩きます。
すると、割れて見えているのが一か所でも、必ずといってよいほど他のところも接ぎが剥がれます。
これはやはり最初の作る段階で、油分を取り切っていないために、全体としてもちゃんと接着されていないのです。
ですから皆さんも胴のどこか一か所が割れたとしても必ず他にも割れると、剥がれると考えてください。
さらに言うと、いずれは、接着剤も劣化します。そうすると、どんな二胡でもこのようにいずれは、胴は割れます。
でも、それを直して、使うのが、木でできた楽器の宿命です。
直して直して弾き込んでいくと、二胡は本当によい鳴りになっていきます。
胴が割れて直して音が変になるという事はありません。
そのように言って、新しく楽器を購入するのを進める人もいるかもしれませんが。
工房光舜堂西野和宏
