二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

楽器その4

2010-09-18 08:03:48 | ■工房便り 総合 
楽器は、進化する物です。

進化させるのは、人です。

演奏家であり、制作者です。

二胡の場合、80年ほど前に、劉天華師が、現在の原型を作った後、

より、楽器としての性能を上げようと、様々な工夫をしてきた人々も沢山いたと思います。

その中で、北京系8角形と言うのは、残ってきた形の一つと言えると思います。

では、全てが、その形になってしまったかと言えば、そうでもないのではないでしょうか。

まだまだ、蘇州系の物の方が多いように感じます。

確かに、北京系の音に比べて、蘇州系の二胡は、倍音も多くいわゆる二胡と言うイメージの音です。

楽器としては、ボリュームが大きくなったという点で、北京系は進化したのでしょう。

しかしどんなものでも進化すると言うことは、何かを得る代わりに、

何かを失います。

二胡の場合、音が揺れます。

弦が、緩く張ってありますし、指板がなく弦の固定がなく、指の小さな圧力で音程が変わります。

もちろん北京系もその部分は同じです。

違うのは内部の構造と、皮の張りでしょう。

ボリューッムアップの為に8角形にして、皮の面積を大きくしました。

面積を多くした分、より倍音が減りました。

音はクリアーになった分、いわゆる二胡らしさと言うのが、少しだけ減ったように思うのです。

でも、まだまだ、演奏したことのない人たちにとっては、蘇州系との区別がつきはしても、
二胡とは違うと言うところまではいきません。

皮の音と言うのがあるからだと思います。

皮の振動板としての、一番のネックは、高音が出にくいということです。

ボリュームアップと言うのを考えて、北京系が作られ、あの音になったとしたら。

高音まで,鳴ると言うことを考えたら、どんな構造で、どんな皮張りをすればよいのでしょう。

二胡作り始めて、私の目標にしてきたのは、全音が、綺麗に出る、と言う事です。

かなり錯覚していらっしゃる方もいらっしゃるようなので、一言。

きちんと、良い皮を、均一に張った場合。

二胡は、作りたてが一番高音が出ます。

えっ!とおもう方がほとんだと、思います。

皮が一番硬いのが、張りたてだからです。

通常は、全体にボリュームが出ないので、高音も同じく出ていないのです。

弾きこんで、皮がなじんできて、ボリュームアップするのは、低音なのです。

もちろん高音も、アップします。

高音は、張りたての時には綺麗に出にくいのも有って、高音が鳴っていないという錯覚があるのだと思います。

弾きこめば、高音も、音色としてちゃんと感じられるようになります。

ですから、弾きこむと高音が出て来るように感じられますが、

全体としては、低音のボリュームアップが大きいのです。

高音をボリュームアップするにはどうしたらよいのでしょう?

続く

西野和宏

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2 Comments

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ぺんぎんさん (nishino)
2010-09-18 20:07:48
弾き込み、もう少し宇緒目に弾いてやってください、

駒飛ぶほど、そうすると雑音?では、無くなります。
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日々低音UPしてます! (ぺんぎん)
2010-09-18 18:28:23
たしかにウチの胡は生まれたてで>>いきなり4ポジより上も鳴った(雑音多いけど!)

このまま雑音取れて綺麗に鳴るのが嬉しいけど♪・・音量そのままで☆

そして弾き始めて2週間で低音は物凄くボリュームUPしてます・・来月1ヵ月点検に連れて行きます。
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