二胡工房 光舜堂

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二胡の完成型は?

2013-09-24 08:32:33 | ■工房便り 総合 
不思議なことに、バイオリンだけが或いは、ヨーロッパの、弦楽器だけが、変化しないでこの300年ぐらい使われています。

厳密に言うと、1800年代の半ば、ビヨーム師が、今のモダンと言われる棹の形を作って以来ということもできますが、それ以後は全くの、コピーでしかありません。

二胡は違いますね、宋の時代ぐらい或いは、中国の歴史上一番東西の交流が盛んになった、唐の時代には、ペルシャなどの胡旋舞等と時期を同じくして、シルクロードから、或いは南から中国に入ってきたのかもしれません。

それ以後、中国の様々な地方に広がり、高い音の楽器、低い音の楽器、大きなもの、或いは共鳴弦のあるもの、更にはバイオリンのように指板のあるものや、ギターのようにフレットのある物など、その地方独特の形が出来て来ています。

1950年代に入って国としての、二胡という楽器の見直しが有り、バイオリンに匹敵するべく、構造などを決めたのです。

でもそれから、20年もするともう8角形の物や編8角形の物、或いは変形5角形の物など、出来上がってきています。

また、棹が胴を貫通しておらず、三味線などのように胴の上部に固定してある物など、構造まで変わってきたものも有ります。

香港などではそのほとんどが、人工皮でできた物を販売している所も有ります。

楽器というものは、そういうものだと思うのです。

時代により、地方により音楽や、またその感性も違います。

ギターなどはクラシックのギターとはもう形まで違う、アコースティックギターや或いは完全に定着したエレキギターなども有ります。

ウクレレでさえ、大小が出来、ついにはギターとウクレレの合体の様な楽器まで発売されています。

二胡もまだまだ完成してバイオリンのように、かなり完成度の高いものになるのは、いつのことでしょうか。

かと言って、二胡作り達は、多分バイオリンのようには、その形を固定しないと思うのです。

それは二胡が、様々な木を使いその木の音色の違いを楽しむ楽器でもあるからです。

多分、多分ですよ。黒檀に向いた構造、或いは紫檀に向いた構造というのも、もしかしてあるのではないかと思うのです。

音を出す、ということを最大限に追求していくのが楽器作りの性ですから。

以下クレモナにお住まいの坂井克則さんのHPからの抜粋です。


 弦楽器製作の世界は、非常に特殊であると思う。

ストラデヴァリの死後、ヴァイオリンの形は既に完成度が100%であると言う美辞のもとに、楽器の全長や横幅、f孔の位置など、どのように求められているか考えられる事なく、300年以上も、コピーする事が最上とされて来た。
そして、コピーする事は、中心線至上主義のように、製作の発想を180度変えてしまった。

 クレモナの150人近くいるプロの製作者に、横幅はどのようにして求められているのか訊いても、誰一人として正しく答えられない。
どんな職人の世界でも、自分で製作している物の寸法がどの様にして求められているか解からない事などありえない。
指導者的立場にあるグランデ マエストロたちは、そんな事どうでもいいから、17世紀の巨匠のコピーをすればいいんだと言う。
ヴァイオリンは、製作者から思考(試行)と言う一番大切な物を取り上げてしまった。
いや、ストラデヴァリが取り上げてしまったのかもしれない。

 17世紀の作図法や製作理念が解かったからと言って急に良い楽器が出来るようになる訳ではないが、絶対に作られた物に差異が出る。
数年後には、ヴァイオリンの下部最大幅は正五角形の一辺、中央C部最小幅は正十角形の一辺と、当たり前の様に、総ての製作者が言うようになるであろう。
そして其の時に初めて、ストラデヴァリの束縛から解放されるのかもしれない。

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