〈補則〉
【第106条】
1.世界共同体域内で出生した者は、自動的に世界共同体籍が付与される。
2.前項以外の場合、世界共同体籍は、世界共同体の構成領域圏または直轄自治圏のいずれか一つの住民として登録されることにより、自動的に付与される。
3.世界共同体籍は、保持者の死亡が公的に証明されることによってのみ失効する。
[注釈]
世界共同体は個人単位で参加する機構ではないが、域内で出生するか、域内の構成領域圏または直轄自治圏のいずれか一つで住民登録をすることにより自動的に付与され、かつ保持者本人の公的な死亡証明によってのみ失効する。反面、構成領域圏または直轄自治圏は現在の国籍に相当するような独自の所属籍を発行しない。
【第107条】
1.この憲章が保障する権利及び自由は、世界共同体域内のすべての個人及び法人並びにその他の集団による不断の協働的な努力によって保持しなければならず、それらが侵害されたときは、その回復のために可能な平和的方法で闘争しなければならない。
2.すべて人は、この憲章が保障する自己の権利及び自由を行使するに当たっては、他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障すること、または世界共同体の目的及び原則を実現することをもっぱら趣旨として法によって定められた制限にのみ服する。
[注釈]
第一項は憲章が保障する権利及び自由に対する協働的な保持と闘争の義務、第二項は憲章が保障する権利及び自由の制限に関する一般的な基準を定める。
【第108条】
1.この憲章が保障する権利及び自由は、基本的人権に含まれ得る最小限を示すものであるがゆえに、世界共同体域内のすべての民衆会議はそれらを削減してはならない。ただし、この憲章が保障していない権利及び自由を付加することを禁止するものではない。
2.この章のいかなる規定も、この章に掲げる権利及び自由の侵奪もしくは世界共同体の破壊を目的とする活動に従事し、またはそのような目的を有する行為を行う権利を認めるものと解釈してはならない。
[注釈]
憲章が規定するたかだか全20か条の人権規定は基本的人権の最小限を示すのみであるから、世界共同体域内の領域圏等の民衆会議はこれを削減すること(例えば、社会権条項を排除するなど)は許されないが、反対に憲章の最小限規定を越えて独自に権利及び自由を追加することは許されるというのが第一項の趣旨である。
第二項は念のための注意規定にすぎないが、この章が保障する権利及び自由がそれらの侵奪や世界共同体の破壊の目的のために悪用されることを禁止する趣旨である。