二 汎東方アジア‐オセアニア域圏
(13)沖縄諸島
(ア)成立経緯
日本の沖縄県が分立し、独立を回復して成立する統合領域圏。
(イ)社会経済状況
世界共同体憲章の軍備廃止規定に基づき米軍基地が完全撤去されることにより、基地依存経済から脱却し、独自の経済計画に基づく工業が発展する。基地の撤去により農地も拡大され、独自の農業も発展する。日本領域圏とは経済協力協定を締結し、経済的な相互関係が維持される。
(ウ)政治制度
広域自治体である数個の地方圏及び単独で地方圏相当の地位を持つ政治代表都市・那覇市に区分される。南太平洋合同領域圏の招聘領域圏としても、オブザーバを送る。
(エ)特記
旧版では沖縄諸島領域圏をアジア‐太平洋諸島合同領域圏の中に包摂していたが、広汎にすぎるアジア‐太平洋諸島合同領域圏を太平洋諸島合同領域圏に変更したことに伴い、沖縄諸島を単立の領域圏とした。
☆別の可能性
日本領域圏から分立せず、日本領域圏内の地方圏(「道」:下記参照)または高度な自治権を持つ特別地方圏(特別道)にとどまる可能性もある。
(14)日本
(ア)成立経緯
主権国家日本国をおおむね継承する統合領域圏。ただし、沖縄が分立する一方、北方四島が返還・編入される。
(イ)社会経済状況
主権国家時代の資本主義経済体制下で確立された工業を基盤に、持続可能的計画経済が構築される。担い手不足から縮退を続けていた農漁業も、計画経済の導入により再興され、食糧自給率が回復する。
(ウ)政治制度
主権国家時代の都道府県を整理統合した広域自治体である10数個の「道」に区分された統合領域圏として再編される。主権国家時代は連邦国家ではないにもかかわらず、二院制であったが、革命後は全土民衆会議の一院制に転換する。なお、天皇は一般公民化され、称号のみの存在となる。北方四島は北海道とは別途、ロシア系住民を含む北方特別行政区として、日本語とロシア語の双方が公用語に指定される。
(エ)特記
地震災害が繰り返される地質条件のため、全土レベルの民衆会議(全日本民衆会議)が置かれる政治代表都市は直下型地震が想定される東京ではなく、津波を含めた災害リスクが相対的に少ない内陸部に設置される。一方、東京都は現行23区部の東京特別市と市町村部に分割され、後者は神奈川県と統合された新たな「道」に編入される。
☆別の可能性
旧制固守的な政治風土ゆえ、日本には連続革命が及ばず、旧来の主権国家体制が残存する可能性もある。その場合、沖縄だけが先行的な革命により分立する可能性がある。一方で革命により日本領域圏が成立しても、沖縄が分立しない可能性は上述した。また、北方四島の返還は後述する極東ユーラシア領域圏のロシアからの分立いかんにかかる可能性が高い。