四 汎アフリカ‐南大西洋域圏
(16)マグレブ合同
(ア)成立経緯
マグレブ合同領域圏は、北アフリカマグレブ地域のモロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアが合同して成立する合同領域圏。モーリタニアも招聘領域圏として参加する。
(イ)構成領域圏
合同を構成する領域圏は、次の4圏である。
○モロッコ
主権国家モロッコ王国を継承する領域圏。スペイン領のセウタとメリリャの両都市が編入される。両都市は高度の自治が保障される準領域圏となるため、モロッコ全体は複合領域圏である。独立運動勢力との係争地西サハラは、世界共同体直轄自治圏となる。
○アルジェリア
主権国家アルジェリアを継承する統合領域圏。
○チュニジア
主権国家チュニジアを継承する統合領域圏。
○リビア
主権国家リビアを継承する統合領域圏。
(ウ)社会経済状況
モロッコやアルジェリア、チュニジアで限定的に試行されながら、市場経済原理に押されて発展していなかった脱資本主義的な社会連帯経済を土台に、持続可能的な共通経済計画が施行される。モロッコはこの地域の自動車生産の中心となる。リビアでは、内戦からの復興計画が導入される。
(エ)政治制度
合同領域圏は、各領域圏民衆会議から選出された同数の協議員から成る政策協議会を常設し、圏内重要課題を討議し、共通政策を協調して遂行する。政策協議会は、モロッコのラバトに置かれる。モロッコの王制は廃止されるが、王は世襲の宗教面での精神的指導者となる。
(オ)特記
旧版では、2010年代のリビア内戦と分裂を想定して、リビア領域圏と東部のキレナイカ領域圏に分立させていたが、2020年代の再統一を受け、リビア領域園に統一した。
☆別の可能性
リビアが再分裂し、旧版どおり、西部と東部が分立する可能性、最悪可能性として内戦が再発継続する可能性もある。また、可能性は乏しいものの、西サハラがモロッコから分立し、単立の領域圏として当合同に参加する可能性もなくはない。
(17)エジプト
(ア)成立経緯
主権国家エジプトを継承する統合領域圏。シナイ半島部が西アジアにもまたがることから、汎西方アジア‐インド洋域圏の招聘領域圏でもある。
(イ)社会経済状況
農業を主軸とするが、北アフリカ随一の工業力をも土台に、持続可能的計画経済が施行される。ナイル流域評議会の中心的なメンバーとして、流域の希少な共同水源となるナイル河の持続可能的な水利管理を主導する。また、主権国家時代からアフリカ随一の鉄道網を活かし、アレクサンドリアから南部アフリカ合同領域圏のケープタウンまでを結ぶ新設のアフリカ縦貫高速鉄道の起点として、運営の中心を担う。
(ウ)政治制度
主権国家時代は高度な中央集権国家だったが、民衆会議制度の下、地方自治が進展する。アフリカ最強にして、中東戦争で数々の戦歴を持つとともに、20世紀のエジプト革命以来、政治的な実力も保持した軍は常備軍廃止を定める世界共同体憲章に基づき解体される。
(エ)特記
ナイル流域評議会は、ナイル河流域の生態学的な持続可能性を保障するため、ナイル河流域のエジプト、スーダン、エチオピア、ケニア、南スーダン、コンゴ、ウガンダ、ブルワンディ、タンザニアの9領域圏で構成される領域間協調機関であり、本部はエジプトのルクソールに置かれる。世界共同体世界水資源調整機関とも連携するこの機関の存在により、主権国家時代ナイル河水利をめぐる流域の紛争や環境的に有害なダム開発などが抑止される。
☆別の可能性
軍部の実権支配が継続し、民衆革命が不発に終わる可能性もある。