第2部 持続可能的経済計画の過程
第9章 計画化の時間的・空間的枠組み
(2)計画過程の全体像
ここで、計画化の時間的・空間的枠組みについて見ていく前に、世界共同体を前提とする経済計画過程の全体像を示しておくと、大きく次の三段階に整理される。
①世界共同体における世界経済計画の策定
⇒世界経済計画は、まさしく世界共同体における経済計画の全体的な設計図となるたたき台的な指針である。そこでは、エネルギー計画を前提に組み入れた全体的な生産計画と汎域圏ごとの環境状況及び人口を参酌した需要と供給の見通しを考慮した生産計画が軸となる。策定に当たっては、環境規準の定立に当たり、世界環境計画のような環境政策機関も関与する。計画案は、世界共同体諸機関での検討を経て、最終的に世界共同体総会で承認されて発効する。
②各構成領域圏における経済計画の策定
⇒領域圏経済計画は、世界経済計画の枠内で、世界共同体構成領域圏ごとの計画機関(経済計画会議)が策定する領域圏独自の計画である。この計画は、実際に民衆の日々の生活に直接関わる最前線の計画となる。これは、一般計画Aと農林水産に係る計画B、特殊な生産分野として製薬に係る計画Cの三分野に分けられる。また、災害や感染症パンデミック等に備えた余剰計画を伴う。計画案は、最終的に領域圏民衆会議で審議・承認されて発効する。
③広域地方における経済計画の策定
⇒広域地方における経済計画とは、各領域圏内部の広域地方(地方圏または準領域圏)における消費計画である。持続可能的計画経済では地産地消が原則であるので、領域圏経済計画を大枠としつつ、食糧を中心とする日常生活財の分配消費に関しては広域地方ごとに計画を策定する。計画案は地方消費事業組合が策定し、広域地方の民衆会議で審議・承認されて発効する。