フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

coming and going letter-2-

2010年05月09日 | テガミバチ関連
注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②テ○ミバチ「サンダーランドJr.Xゴーシュ」です。このカップリングやゴーシュ受が苦手な方はご遠慮ください。
③設定については大部分捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)
④文章の一部は、うっかり目に入らないよう反転させることがあります。反転箇所は携帯からは読めません。ご了承ください。


  
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「精霊琥珀の力で、ぼくたちは『こころ』のかけらを光の形で見ることができるけれど、この体の中にあるときは、体のどこを切り開いてみても、その在処も姿もわからない。なのに、『こころ』は物や人に込めたり、伝えたりすることができる。この体の中で生まれるのに、体から離れても独立して…身体が死んでも、存在し続ける。いったい『こころ』はこの体のどこで生まれて、どんなふうに存在しているのでしょうね…?」
「それは……」
 私は、どぎまぎしながら彼の目から微妙に目をそらした。その頃の私は、まともに彼を見つめることすらできなかった。胸がときめいて、白状すると診察するときなど更に平静ではいられなかった。医師として失格だと思ったが、かといって他の者に任せるのは嫌だった。
「今のところ、誰にもわからない。いくら解剖して実験して、五感がどのように伝わって脳に達し、脳がどのように反応して感情を生み出したり手足や表情を動かすのかはわかったとしても、それは『こころ』そのものではない…。それでは、それがなぜ他人に伝わるのか、物の中に留まるのか、不明なままだからだ。私は、『こころ』は熱のようなものだと思っている。目には見えない、しかし離れていてもその温かさや冷たさを感じることができる、決して温度の変わらない熱。それが体温のように、全身の筋肉や細胞で作られるのか、それとも通説で言われるように、胸や脳など特定の場所で作られるのか、それもまだわからない。もしも『こころ』が目に見えて、胸の中に詰まっているのだとしたら、話は簡単なのだが。その『こころ』を知るには、胸を切り開けばいいだけだからな」
 彼は少し目を瞠り、ついでくすくすと笑った。
「博士、それじゃ相手の『こころ』を知ったときには、相手が死んじゃってますよ」
「え?ああ、そうか…」
 私は恥ずかしくなって鼻をこすった。ばかなことを言ったことに対してではない。そのとき私は、メスで切り開いたスエードの胸から、赤いバラの花が溢れてくる夢想にひたっていたからだ。
「……『こころ』を知りたいなら、解剖なんてしなくても、相手に訊ねればいいじゃありませんか?」
 微笑んで彼はそう言うが、
「それができれば、悩まないさ……」
「……」
 私はぎょっとして、固まった。
「『こころ』が、熱のようなものなら……」
 前触れもなくスエードの手が、テーブルの上の私の手を握った。
「触れてみれば、伝わるものもあるのでは?手をつないだり抱きしめたりするのは、そのためでしょう?……ところで、どうしていつも手袋をなさっているんです?コーヒーカップを持つときでさえ?」
「それは……」
 私は、スエードの無邪気な行動に、すっかり動揺していた。
「火傷の痕が見苦しいからだ。六年前の、飛行船の事故のときの。右目はそのとき視力を失ったし、左の顔面にも、少し残っているだろう?」
 彼は笑みを消してじっと私を見つめた。
「……それじゃあぼくは、あなたのどこに触れればいいですか……?」
「ス……」
 このときの私は、本当にどうかしていた。どうかしていたからこそあんな大胆な行動に出られたのだが、アドレナリンが大放出され、心臓は激しく拍動し、血圧は上昇、喉は干上がり、言うなれば極度の興奮状態に陥っていた。それほどスエードの仕種と言葉に、理性を失ってしまっていたのだ。
「……唇に……」
 私は手首を返し、彼の手を摑んだ。
「君の唇に……触れさせて欲しい……」
 彼の表情は変わらなかった。ほんの少しだけ驚いて目を見開いたが、拒否や嫌悪は浮かばなかった。
 彼がつと目を伏せたのを合図に、私はゆっくりと顔を近づけていった。ゴーシュからも。私たちは互いにテーブルの上に身を乗り出して、唇を重ねた。

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 ゴーシュに「センチメンタル」などと評された博士は、きっとロマンチストでもあろー・・・という設定。ですが、博士の妄想っぷりには、我ながら悶絶。妄想しすぎっつーか、乙女だな、博士!ちょっとキモいよ(爆)

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