現代短歌社が発行した「年刊詞華集2012」に、当研究会から以下の作品が掲載されました。
三谷和夫
・茂吉先生詠みにし雁をこの沼に呼ばむ願ひて我は老いゆく
・「百年後の手賀沼」といふ文集成る大人は大方夢を語らず
・街の誇る沼の底土セシウムのベクレル高きを語る人なし
・焼却灰の引き取りを市は断らる今放射能にまみるる心地す
・戦争をなすべからずと念じ来てわが戦争を書かず語らず
・凸凹の歩道を自転車こぎて走る馬に乗るごと足ふんばりて
・わが庭に黒揚羽来てただよへば久しく会はぬ人の思はる
須田博
・留守居して暇持て余す日曜日郵便は来ず夕刊もなく
・冬至の湯ひびあかぎれを癒すと言ふ柚子を浮かべて手足を擦る
・我武者羅にただ只管(ひたすら)に白球を追ひし青春夢に顕ちくる
・大都市の弱さを露呈す僅かなる雪に麻痺する交通手段
・怖ろしき夢に目覚むる真夜中に梟の声不気味に聞こゆ
・隠れん坊面子ビー玉独楽回し路地に童の昭和の遊び
・夾竹桃終戦の日も咲きゐしと我戦場に在りて知らざりしこと
・サークルに室伏広治は絶叫す鉄球遠くへ飛ばさむとして
・老い二人その日の話題さして無く昔の思ひ出ただ繰り返す
今野英山
・フィレンツェを追はれしダンテがこの門を潜りて見しは腐敗のローマか
・幾十の干し物かかる路地裏に滴(しづく)よけつつナポリを歩く
・カンツォーネの悲しき音色奏でつつマンドリン弾きは席に寄りくる
・欲望のままに見えゐしこの街に「七つの慈善」のカラバッジョの絵
・身を投げむことあるならば海岸(うみぎし)の碧きに揺るるミモザの花へ
・段状に崖を刻みし海の民レモンの畑(はた)に生計(たつき)たてたり
・ポケットにモザイクひとつハドリアヌスの浴室飾りし栄華の欠片(かけら)
三谷和夫
・茂吉先生詠みにし雁をこの沼に呼ばむ願ひて我は老いゆく
・「百年後の手賀沼」といふ文集成る大人は大方夢を語らず
・街の誇る沼の底土セシウムのベクレル高きを語る人なし
・焼却灰の引き取りを市は断らる今放射能にまみるる心地す
・戦争をなすべからずと念じ来てわが戦争を書かず語らず
・凸凹の歩道を自転車こぎて走る馬に乗るごと足ふんばりて
・わが庭に黒揚羽来てただよへば久しく会はぬ人の思はる
須田博
・留守居して暇持て余す日曜日郵便は来ず夕刊もなく
・冬至の湯ひびあかぎれを癒すと言ふ柚子を浮かべて手足を擦る
・我武者羅にただ只管(ひたすら)に白球を追ひし青春夢に顕ちくる
・大都市の弱さを露呈す僅かなる雪に麻痺する交通手段
・怖ろしき夢に目覚むる真夜中に梟の声不気味に聞こゆ
・隠れん坊面子ビー玉独楽回し路地に童の昭和の遊び
・夾竹桃終戦の日も咲きゐしと我戦場に在りて知らざりしこと
・サークルに室伏広治は絶叫す鉄球遠くへ飛ばさむとして
・老い二人その日の話題さして無く昔の思ひ出ただ繰り返す
今野英山
・フィレンツェを追はれしダンテがこの門を潜りて見しは腐敗のローマか
・幾十の干し物かかる路地裏に滴(しづく)よけつつナポリを歩く
・カンツォーネの悲しき音色奏でつつマンドリン弾きは席に寄りくる
・欲望のままに見えゐしこの街に「七つの慈善」のカラバッジョの絵
・身を投げむことあるならば海岸(うみぎし)の碧きに揺るるミモザの花へ
・段状に崖を刻みし海の民レモンの畑(はた)に生計(たつき)たてたり
・ポケットにモザイクひとつハドリアヌスの浴室飾りし栄華の欠片(かけら)
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