１２月 １０日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　初雪・新雪



　　　　　山初雪枯木の中に顔入れて　　　　　　　　　細見綾子


　　　　　門柱のシーサーに舞ふ初の雪　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　新雪に風の紋様まぎれなし　　　　　　　　　国枝洋子


　　　　　宅急便初雪乗せて届きけり　　　　　　　　　岸本典子


　　　　　初雪や山小屋閉づる槌の音　　　　　　　　　中野一灯


　　　　　初雪を見せむと母に障子開く　　　　　　　　倉田信子


　　　　　新雪へおしくらまんぢゆう崩れけり　　　　　奥山ひろ子


　　　　　初雪の朝日を浴びし白さかな　　　　　　　　服部萬代


　　　　　ふりかけし程の初雪今朝の富士　　　　　　　中村たか


　　　　　櫛買ひて初雪に会ふ奈良井宿　　　　　　　　小田二三枝


　　　　　初雪や波止場で啜る貝の汁　　　　　　　　　内田蒼天


　　　　　新雪の明神岳映ゆる池の底　　　　　　　　　山下智子



　　　　　　　　　　



　　　　　遠つ嶺に刷く新雪や母へ駈く　　　　　　　　能村登四郎


　　　　　山人のよき顔に初雪来　　　　　　　　　　　宇多喜代子


　　　　　初雪に授業中断してをりし　　　　　　　　　岡田順子


　　　　　新雪を被てはるかなる加賀の山　　　　　　　石塚友二


　　　　　富士初雪日向はどこも鉄くさし　　　　　　　加藤楸邨


　　　　　山初雪やどりぎの毬白くしぬ　　　　　　　　山口青邨